【クモラナイキセキ・1話】ヤンデレ創作BL小説

はじめに

新しい創作の連載始めます!不定期で一話ずつ更新していく予定です。ファンタジー・ヤンデレBLがテーマのオリジナル小説です。個性的な4人のヤンデレなキャラクターたちとともにハッピーエンドに向けて進んでいきます!お楽しみいただけますと幸いです♪

作品について

綺麗な容姿と謎めいた素性。健気な涙。それは、夜に輝く光の海、夜景に似ている気がした。

…一番大切なものをきみにあげる

あらすじ
魔法が当たり前に存在する未来
そんな未来からやってきた「ソーダー」という魔法使いの青年に恋をした「カーランク」
禁じられた魔法の使用を取り締まる、魔法管理隊隊長「ポロンボウ」
未来を統べる「タンザク王」
恋のために世界をめちゃくちゃにする!これは4人の恋の共犯者の物語

カップリングはカーランク×ソーダー(メインキャラ)、ポロンボウ×タンザク王。…タンザク王は後半に登場します(^▽^)

注意事項

残酷な表現や展開を含む場合があります。その他、著作権や表現に関する注意事項等については以下のページに記載しております。お読みになる前に必ず一度は目を通しておいてください!

本編【1話】約3500文字

今夜も月を見に行こう、どうせ退屈だし、眠るには少し早い時間だ。紫色の空の下、ボク(カーランク)はこの国で一番高い展望台を目指して歩いていた。上を見上げると、パイナップルに似た黄色の星々がちらちらときらめいているのが見える。今日は天気がいいな。

展望台にたどりつき、コインを渡してエレベーターに乗る。ボク以外にもお客さんは何人か来ている…まぁ平日の夜だからな、祝日なんかは人が多くてなかなか来られない。ふぅ…と一息ついている間にエレベーターは頂上へとたどり着いた。

一歩踏み出すと一面ガラス張り。クリスタルのように輝く景色が広がる。赤、青、黄色…数えきれないほどのカラフルな高層ビルがそれぞれの色に輝いて、光の海のような夜景を作り出している。その輝きに負けない黄色の星々、流れ星。そして純白に、どれよりも強く輝き存在感を示している大きな月。

飲み込まれそうな光の景色に息をのむ、見守るようにじっと見つめる。毎日見ているのに飽きないな。首元につけているボクの紫色の天然石も照らされて輝く。

やっぱり、ボクは綺麗なものが好きだ。

特に…夜の、怪しく惑わすような美しさが好きだ。

ずっと見ていられるけれど…そろそろ帰るかと左手首に目をうつす、いい時間だ。帰ったらお風呂に入って眠りにつこう。

その時だった。バチンッと電撃が走るように視界が揺らいだ、何かが閃光を放ったのだ。

めまい?最近仕事(砂時計屋さんの店主なんだ)が忙しかったから、疲れがたまっているのか?…なんて思ったけれど、キャーという悲鳴が聞こえて、地面が揺れて轟いて、ボクはやっと何かの異常事態に見舞われていることを理解した。

しかし何が起きたのか確認することもできないままに、ボクは体勢を崩して転がってしまった。ガラスに激突する…ガラスは丈夫だろうし高所恐怖症ってほどでもないから別に怖くはないけれど。

「痛ッ、なんだ…?何が起こっているんだ?」

顔を上げると皆が逃げているのが見えた、避難用の出口があるようだ、ボクも逃げないと、状況は…よくわからないけれど。

逃げる人々は「うしろ!うしろ!」とボクを指さしている。嫌な予感…恐る恐る振り返ると、空気を取り込み渦巻く霧の中からボクの体の何倍も大きい「漆黒のドラゴン」が姿を現した。

こんな生き物見たことがない!!嘘だ、こんな生き物が存在するなんて、ここは現実か!?

蛇とはくらべものにもならない…鋭い瞳にギロリと睨まれて、ボクは腰が抜けてしまった。体が震えて立ち上がることができない。

は、早く逃げなきゃ、にげなきゃ、あれ、皆の姿が見えない…お、置いて行かれた!?

漆黒のドラゴンは舌なめずりをした後、ボクの隣のガラスを翼で破壊した。破片が服を掠めた。なんて力だ…大きな音と衝撃に驚いてボクは恐怖でいっぱいになった。

ガシッ…ボクの体が鋭い爪に掴まれる、簡単に宙に浮く。

ドラゴンはボクを掴んだまま夜空へと飛び立った。

おわった…、はい、ボクの人生終了ね、理解理解。

このまま巣とかに運ばれて子供ドラゴンに食べられるんだろ?それか吊るされてサンドバックかハンバーグにされるんだ。で、ニュースになるんだ、ドラゴンらしき謎の生き物の最初の被害者ってな。

上空、冷たい夜風をひりひりと感じる、夜景は好きだけどここまで満喫したいわけじゃなかったんだって。

昇る、昇る、雲が近くなっていく…神様、勘弁してくれよ。

「待て!わたしの話を聞いておくれ!!」

誰かの声がした…、こんなところ、誰もいるはずがないのに!?ボクは項垂れていた頭をそっと持ち上げる。諦めていた感情に光が差した。その光景を目の当たりにして…。

「…え!?人が飛んでる!」

雲をかき分けて、一人の空飛ぶ青年が現れた。ピンク色の長髪がばらばらと強風に吹かれて、赤い瞳が炎のようにメラメラとゆらめいている。

彼はボクに投げキッスをして、わたしが来たからもう大丈夫だよと微笑んだ。整った顔立ちにうっかりときめいてしまう…。

彼は華麗に、舞うように空を駆けながら、持っていた魔法のステッキを掲げた。ステッキは星の光を集め、それはピンク色の輝きとなって彼の体を包み込んだ。包み込んだ光は彼の姿を「魔法使い」へと変えていく。光の粒がはじける。

変身した彼は余裕の笑みでウインクを決めてから、漆黒のドラゴンと向かい合った。

「ドラゴンくん、ここはきみのいるべき時代じゃない。元の時代へ…未来へお帰り。大丈夫、わたしが導いてあげるからね!!」

リズムをとるように楽し気にステッキを振る彼。ボクとドラゴンは呆然とそれを見つめていた。彼の生み出すリズムに合わせて、数えきれないほどの光の粒が集まって…それは夜の空に大きな渦を作り出していく。

彼「さあドラゴンくん、この渦の中にお入り。きみのおうちに繋がっているからね、帰られるよ。いいかい?もう時間を飛び越えようだなんて考えちゃだめだよ。時間を超えるのは「世界魔法ルール」で固く禁じられていることは知っているだろう?「魔法管理隊員」に見つかって捕まって大罪人になっちゃう前に…さぁ、行くんだ。」

ドラゴン「ありがとう…魔法の勉強をしていたら暴発して、気が付いたら時間を超えてしまったんだ。困ったからこの捕まえた人間に何とかしてもらおうと思ったんだけど…君がいて助かったよ。でも魔法使いさん、この時代に魔法はまだないんじゃないかい?魔法が研究されて解明され、皆が使用できるような時代になったのはもう少し先の様に見える。高度な魔法を操る君は何者だい?」

ボク(ドラゴン喋るんだ…)

彼は人差し指を口元にあて、いたずらな笑みを浮かべて言う。

「わたしの存在は秘密―シークレットー、そういうことにしておいてくれ」

ふふふ…そうかい、とつぶやいてドラゴンは扉の中へと入っていく。ドラゴンはボクを空中に放り投げて、バイバイと手を振り、光の渦とともに消えていった。

「…!!!」

空中に投げ出された体。体の中身がなくなったのかと思うくらいの浮遊感。そんなボクの体は、瞬間移動して下で待ち構えていた彼の腕の中にすっぽりと納まった。

「怖い目にあったね、紫の髪と瞳が美しいお兄さん。でももう大丈夫だからね」

「あ、ありがとう…助けてくれて…はぁ、怖かった」

…さっきまで目の前で起きていたことが現実だということが未だに信じられない。

恐ろしかったけれど、魔法を体感できた…未来を感じられた…不思議で夢のような体験だったな。

彼は目を合わせたまま何も言わずにただニコニコしている…どうしたのだろう、何か困ったことがあったのだろうか。

「きみ、名前は何というのだい?」

「ボクはカーランク」

「そうかい、カーランクくん。わたしはソーダー。うふふ…はぁ、どうしたものかな」

「ソーダーさん?な、何か困ったことでも?」

「他の人はすぐに逃げていったし、あれもこれも集団で幻覚を見た事件、強風でガラスが割れた事件、みたいに処理されるだろうけれど。きみは全てを見て、ドラゴンや魔法の存在も、そしてわたしの秘密にも触れてしまった。これは困ったことだね。わたしの存在はシークレットだというのに。

もしきみがわたしや魔法について言いふらして、広めてしまったら非常に厄介だ。魔法管理隊員に捕まってしまうよ…きみにわかりやすく例えると、未来では当たり前に存在している魔法専門の警察官の様なイメージかな。

わたしは未来から来ちゃった魔法使いだからね。魔法管理隊の人には時間を移動した大罪人を捕まえる目的に限って「時間を移動する魔法を使っても良い権利」なんてものがあるんだ、つまり強力な魔法で簡単にここまで捕まえにやってこられるんだよ、困ったなぁ」

「こんな話誰にも言わないよ…よく分からないし、こんな話しても誰も信じてくれないだろうしさ」

「ん~、わたしは人を信じることが苦手でね。カーランクくんのこと、悪い人だと思っているわけではないのだけれど。」

「…」

そしてソーダーさんはボクを抱えたままどこかへ飛びはじめる。

「え?どこ行くんだ!?そろそろうちに帰りたいんだけど…」

そしてソーダーさんは衝撃の一言を放った。

「きみは二度と帰られないよ♪悪いけど、わたしは心配性なんだ。自分の情報は手の届くところで管理したい。だからきみはわたしの家に閉じ込めておくことにした、きみが死ぬまでね」

「いやいやいや、無理!おろしてくれー!」

「さすがにこの場できみを消すのはかわいそうだからね…大切に育てるよ」

「こ、怖いこと言うなよ、勘弁してくれ…」

白い顔をして震えるボク。彼はやれやれ困ったなぁとため息をついている。けれど、何となく…嬉しそう?にも見える。

彼の魔法でボクの両手はピンクのリボンで結ばれてしまった。この人、本気だ…。

「う、嘘だろ?」

ボク、もう帰られないの?

どうしようもない感じ?

ボクはソーダーさんに抱えられ、夜空のその先へと運ばれていった。

続く

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