五話 ソクミタたちの挑戦
…次の日の夜・廃病院・綾小路研究所(入口扉)…
ハルは研究員になりすまして、扉を開けるためにセキュリティカードをかざした。ポポタマス、ベーゼ、ソクミタは建物の外に隠れて待機している。
機械音声「認証しました。」
ハル(良かった〜♪これで中に入れる)
機械音声「合言葉をお願いします」
ハル「あ、合言葉!?わ、わかんないよ〜」
その時、ハルを目掛けてレーザー攻撃が放たれた。ハルは宙返りして、ひらりとそれを交わした。
機械音声「侵入者発見!侵入者発見!研究員は直ちに武器を持って、戦闘に備えてください」
ハル「作戦失敗だ〜。こうなったら…仕方ない!全員で力を合わせて無理やり突入しちゃおうよ!
ベーゼ、扉を壊して!!」
ベーゼが「承知しました」と駆けつけて、怪異の力で出現させた大きな鎌で、扉を破壊した。ハルは素早い動作で研究所内に入る。
センサーが張り巡らされていて、感知されると、撃ち抜かれてしまう…しかしハルは軽々と体を動かして、センサーを避けながら先へと進んでいく。
ハル「ベーゼ、ソクミタさん、私と同じ動きをしてついてきてね」
ソクミタ「の、望むところだ!」
ベーゼ「は、ハルお嬢様…ああもう、無茶しやがって…!」あわあわ
ポポタマスはドローンを操作して、ミニ爆弾でセンサーを破壊し、ソクミタとベーゼがハルについていけるように援護した。爆風によって、研究員も退散していく。
しかし地下室の実験室に向かう廊下の途中に、大きくて頑丈な鉄製の扉があった。三人は立ち止まってしまった。
ソクミタ「こんな扉、前に来た時はなかった」
ハル「これは爆弾じゃ壊せないかも。どうやったら開くんだろう?鍵?」
ベーゼ「お、おい、囲まれているぞ…どうする!?」
研究員に囲まれて、逃げ場が無くなってしまった。研究員は銃に似た特殊な武器を構えている。一歩、一歩、後退りし…硬い扉に背中が触れた。
その時研究員がベーゼに狙いを定めて、引き金をひいた。
ポポタマス「ベーゼ、危ないよ!」
こっそり建物の中へと入って、追いかけて来ていたポポタマスがベーゼに体当たりして助けた。ベーゼがいた場所には、特殊な液体が発射されており、床がドロドロに熔けていた。
もう一度狙いを定めようとした研究員を、ソクミタが取り押さえた。
ポポタマス「ヤバいヤバい!ドローンも爆弾も、もう無くなっちゃったんだよ。
仕方ない、僕とハルちゃんが、研究員と戦おう。全員気絶させちゃおう。
ベーゼは鉄の扉を壊すんだ、ベーゼならできるよ、なんとかしてソクミタさんと先に進んで!ハルちゃんのために!!」
ベーゼ「わかった、ハルお嬢様にケガをさせたら、許さねぇからな」
ポポタマス「言われなくても♪」
ハルがソクミタに小型のメモリーを投げ渡した。
ハル「そのメモリーを実験室のコンピュータに差し込めば、情報を抜き取れるよ。情報は探偵事務所のコンピュータに自動で転送される。メモリーは回収しなくてもいいから、やってみて!」
ソクミタ「ああ、わかった」
ーーー
ハルは研究員たちの武器を取り上げ、地面に叩きつけて壊した。ポポタマスのパンチが研究員の顔面にヒットした。(ポポタマスは武器の使い方や護身術、戦闘技術を自己流で学んでいた。それが役にたっている。)
ベーゼは鎌を振るい、高速で攻撃を繰り返した。人間の目では追えないくらいのハイスピード、鎌が欠けるまで力を出し切って…なんとか、鉄の扉に穴を開けることができた。
ベーゼとソクミタは穴をくぐり抜けて、地下室へと走った。そして、綾小路研究所の中枢、地下の実験室にたどり着いた。
コンクリートに囲まれた、薄暗い部屋だ。鉄格子の向こう側には鉄製のベッドがあって、そこにロウソクが横たわっている。棚には不思議な薬品、危ない器具がたくさん並べられている。
ベーゼが鎌を振り下ろし、鉄格子と手錠、鎖を真っ二つにした。
ソクミタはロウソクの元へ駆け寄り、体を揺さぶった。
ソクミタ「ロウソク、起きろ!目を覚ませ!…クソっ、だめか」
ソクミタはロウソクに繋がっているチューブを全て引き抜いた。ロウソクを抱き上げて、肩の上にのせて担いだ。
ベーゼはソクミタからメモリーを受けとり、近くにあったコンピュータに差し込んだ。
ベーゼ「写真も撮っておくか。ソクミタさん、運べるか?重いだろ」
ソクミタ「大丈夫だ、わたしが運ぶ」
…ポポタマスの大きな声が聞こえた。
ポポタマス「警備システムが作動して、通報されちゃったみたい〜!サイレンの音が聞こえてきたッ、警察とか裏社会の情報屋とか色んなやつが集まってくる。撤収するよ!」
ハル「こっちは大丈夫だよ、みんなやっつけたから」
ベーゼ「ハルお嬢様、俺達も大丈夫ですッ」
ソクミタ「よし、脱出しよう」
ーーー
ーー
ー
六話 ソクミタの明日
…探偵事務所(自宅・リビング)…
ハル、ポポタマス、ベーゼ、ソクミタは探偵事務所に帰ってきた。しかし、ロウソクは眠ったままだ。
ソクミタは息を切らしながら、ロウソクをソファに寝かせた。はぁはぁ…息を整え、汗を拭った。
ポポタマス「後つけられてないかな?防犯カメラは壊してきたけど、バレてないかなぁ」
ハル「ベーゼが遠回りして、走ってくれたから心配いらないよ。皆、ベーゼに気を取られて、私たちのことは見失ったみたい。」
ベーゼ「疲れた。作戦が成功してよかったな」
ポポタマス「後はソクミタさんにおまかせだね〜♪悪い奴らに立ち向かうんでしょ?マジで頑張ってね」
ポポタマスはコンピュータをカタカタと操作し、ソクミタに、研究所が悪事を働いている証拠が入ったメモリを手渡した。
ソクミタ「本当にありがとう」
ハル「ソクミタさん、帰るところがないんだっけ?ここに住んでもいいんだよ。ポポ君もベーゼも賑やかなのが大好きだから、遠慮しないでね♪」
ソクミタ「…ありがとう。数日、泊まらせてもらえると助かる。
帰る場所や仕事は、直ぐに取り戻す予定だから、何日も何日も、世話になるつもりはない。…と、言いたいところだが、ロウソク次第だな。早く目を覚ませばいいのだが。
ロウソクは裏社会の情報を多く持っているし、きっと協力してくれるはずだ。目を覚ましたら、彼を連れて、警察署に戻り、立ち向かうつもりだ。
…すやすやと眠っているし、心配いらないだろう。顔色も表情も悪くない。あんな薄暗い研究所では生きた心地がしないだろうが、もう安心しただろう。
わたしも疲れた。あなたたちと話しながら、少し休みたい」
ハル「うん!ソクミタさんって強いし、正義の味方って感じでかっこいいし、もっと皆で色々話そうよ」
ポポタマス「…かっこいい!?!?それはないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないないない僕の方がイケメンだよね!」
ベーゼ「ソクミタさんはフツメンでポポはブサイク、俺こそがイケメンだ!!!」
ポポタマス「見る目がないなぁ、ベーゼは鏡と現実を見た方がいいよ。街の人100人にインタビューしてみなよ、100人中100人が僕の方がイケメンだと答えると思うよ。ベーゼは目付きが悪いからね。」
ベーゼ「イケメンじゃねぇよ、お前は中の下くらいだろ。俺は中の上くらいだな。だがお前は自分勝手で性格が悪いから、マイナス100ポイントで、下の下の下だ」
ポポタマス「僕は一途だからプラス1000ポイントだよ。ベーゼはビビりだからマイナス1000ポイントで、下の下の下の下の〜」
ソクミタ「お、おい、争うな。二人にはそれぞれの良さがあるし、皆美しいんだ」
ポポタマス「え〜?ソクミタさんは山だから、恋とか、モテることとか、興味ないの?
そうだ、ソクミタさんは僕とベーゼ、どっちがかっこいいと思う?価値観が気になる♪」
ソクミタはふたりの顔を交互に見て悩んでいる…ふと視線をそらして、ロウソクの顔をチラッと見た。直ぐに視線を戻し、ふたりの顔を交互にみた。考えながら、またロウソクの顔を見た。直ぐに視線を戻し…。
ソクミタ「うーん…んー…」
ポポタマスはその様子を見て、何かに気付いたらしい。
ポポタマス「あ〜、ごめんごめん、答えなくていいよ♪ソクミタさん、そろそろロウソクを起こそうよ。そうだ、それがいい♪呪われてるんだっけ?霊媒師とか呼ぶ?…でも、この状況が噂になるのはマズイし、別の方法を探す方がいいかもね」
ベーゼ「別の方法?俺たちだけじゃ、看病することくらいしか出来ねぇだろ」
ポポタマス「そうだ、キスしたら起きるんじゃないかな?」
ハル「ふざけてる場合じゃないよ、真面目に考えようよ〜」
ソクミタ「…まずは、これか効くかどうか試してみよう。」
ソクミタはどこからか、護符(ごふ)を取り出して、ロウソクの胸に貼り付けた。
三人は「これって山の力…?」と、わくわくした様子で目を見合わせた。しかし、ロウソクは目を覚まさない。
ソクミタ「だめか…」
ソクミタはロウソクの傍に座り、落ち着いた表情でロウソクの顔を見つめた。
ソクミタ「…」
ロウソクの胸にそっと手をおいて、話しはじめた。
ソクミタ「…お前が書き残した『自分しか信じない。善も悪も、正義も俺が決める。』という言葉。その言葉は良いと思った。頼もしい言葉だと思った。
…わたしはいつだって正義の味方でありたいと思って行動している。だが、時々何が正しいのかわからなくなる。自分で判断し、行動することが怖くなるんだ。
だから、「神さまならどうするか」と考えることがある。おかしいだろう、わたしが神に祈るなんて。それでも、自分以外の何かに責任をとってほしくなる時があるんだ。
逃げたくなる時があるんだ。
…本当は、わかっている。いつも正しい判断をし、全てを救うことはできないということを。わたしも、ひとりの「人間」だ。特別な存在なんかじゃない。
そう悩み、迷った時、わたしの心の中にある「影」が囁くんだ。「お前ひとりが戦っても、世界は変わらない。全て自己満足。無意味なことだ。」と。
その度にわたしは影に「そうかもしれない。それでもわたしは前を向いて、誰かを救うために戦いたい。優しく強くあるために、行動したい。わたしの正義は、無意味なんかじゃない」と返していた。
わたしの正義はいつも、どこか抽象的だった。
…だが、お前のノートを見て気が付いた。
ロウソクは、わたしにしか救えないんじゃないか…と、思ったんだ。
お前が別れ際に見せた、似合わない優しい表情と、「俺、お前と約束したんだ」という謎の言葉が、ずっとずっと引っかかっていた。
ロウソクを救いたい。わたしの手で救いたい。
そう思った瞬間、ぼんやりと広がっていた正義が目的を宿し、はっきりとした形になったんだ。
正義の心の輪郭がはっきりと感じられた。わたしはやっと、自分の中にある正義を見つけられた気がしたんだ。囁いていた影はいなくなっていた。
だから、お前と出会えてよかったと思っている。お前を捕まえた警察官が、わたしでよかったと思っている。
本物の愛情も、本物の正義も、この世界にはないのだろう。いくら欲しがっても、無いものは無いんだ。
それでもわたしはお前に伝えたい。
…生きている意味がない人間なんていないって。
生まれてこなきゃよかったなんて、二度と口にするなって。
伝えたくて、たまらないんだ。
…わたしを信じて、さぁ、目を覚ましてくれ。」
ソクミタはロウソクの上半身を起こして、抱きしめた。体温が伝わって、…ロウソクの瞼がぴくりと動いた。
ロウソク「…?」
ソクミタ「…ああ、良かった!見ろ、目を覚ましたぞ!!」
ソクミタは、少し離れたところから見守っていたポポタマスとベーゼ、ハルの方を見て、喜んだ。
抱きしめられているロウソクは、状況を把握できず、狼狽え(うろたえ)ながら「お前誰だよ、気安く俺にさわ…」とソクミタを引き剥がした。「んなよ…」言い終わると同時に、その顔を確認した。
ロウソク「ソクミタ…!?!?!?いや、ソクミタがいるわけねぇか。夢か。しかしこんなにも近くにソクミタがいるなんて、最高の夢だな。」
ロウソクはニヤニヤしながらソクミタに手を伸ばしたが、ソクミタは「触るなッ」とその手を叩いて払った。
ロウソク「は?好きにできないのかよ。つまらない、痛めつけて泣かせてやろうと思ったのに。どうせ悪夢だ。……ッな、なんだ!?」
ソクミタはロウソクに近付いて、顔をじっと見つめはじめた。
至近距離で見つめられて、ロウソクは赤面して困惑しはじめた。
ロウソク「…は?何だ?見るなよ…これは、なんだ…。?…夢だよな?」
ソクミタはロウソクの手に自分の手を重ねて置いた。
ロウソク「何!?ソクミタが俺に触るなんて、おかしいだろう、おかしい。こんな夢ははじめてだ。クソッ…汗のにおい…いい匂い、頭がまわらねぇ。」
ソクミタは「夢かどうか確かめてみるか?」と微笑んで、もう一度、ロウソクを抱きしめた。
強く抱きしめる。ぎゅっと密着して、感触と体温が伝わっていく。それから、ゆっくりと体を離した。
ソクミタ「…ふふ」 ロウソク「…!?」
ソクミタ「さぁ、準備は整った。警察署に行くことにしよう。ロウソクも一緒に来るんだ、力を貸してくれ。
お前がきちんと裁かれる、健全な世の中にするために、立ち向かうんだ。わたしがそこへ、送り届けてやる!出発だ!」
ハルとベーゼが、慌てて駆け寄ってきた。
ハル「待って待って!ロウソクさん大丈夫?急に抱きしめられたから、びっくりして気を失っちゃったみたいだよ!」
ベーゼ「白目剥いてるぞ。おい、しぬんじゃねぇぞ!」
夢じゃないと実感し、キャパオーバーしたロウソクは、笑顔で、気持ちよさそうに気絶している。
ソクミタ「なんだって!?や、やはり、まだ体調が優れないのか、もしかして腹も減っているのか?おい、しっかりしろ、目を覚ませ!」
慌てているソクミタを見て、…ポポタマスはなんだか楽しそうにしていた。
ポポタマス(一途だなぁ…♪)
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その後。ソクミタとロウソクは警察組織に立ち向かった。
ソクミタを信じ、帰りを待っている警察官が多くいた。ソクミタは孤独ではなかった。
ロウソクは知っていることを全て話し、裏社会を駆け回って、新しい時代を作ろうとするソクミタ達に協力した。
…警察組織は改心し、綾小路研究所は解体された。
そしてソクミタはもう一度、ロウソクに手錠をかけた。パトカーが止まっており、ロウソクを待っている。ソクミタはこれから新しい事件を調査しに行く。夕焼け空を背に、二人は最後の言葉を交わした。
ロウソク「ははは、ソクミタにもう一度手錠をかけてもらえるなんて、幸せなことだ。」
ソクミタ「相変わらず、変わってるな」
ロウソク「裏社会の闇はまだまだ深い。だが、お前ならやれるさ。」
ソクミタ「ああ、ありがとう。」
ロウソク「頑張れよ、ソクミタ長官♪」
ソクミタ「肩書きなんて何でもいい。だが、警察官に戻ることができたのはよかった」
ロウソク「そろそろ行けよ。じゃあな。ありがとう」
ソクミタ「ああ、またな」
ソクミタは駆け出し、ロウソクはパトカーに乗った。
二人はその後、二度と会うことはなかった。
しかしロウソクは、ソクミタと力を合わせて戦った日々と、ふたりで食べた味噌ラーメンの味を忘れることはなかった。
[ソクミタの影 END]ありがとうございました。
おまけ
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数年後。深夜の裏社会。ソクミタは、酷く焦った表情で走っていた。走れ、逃げろ!
…ソクミタはロウソクの子どもたち「ゆらめき」「きらめき」「ささめき」を探すため、調査をし続けていた。しかし三人は手強かった。情報を巧みに操る情報屋「きらめき」に、オモチャのように転がされ、彼らの正体と居場所を掴めずに、警察組織は苦戦していた。
しかし、ついにソクミタは、その尻尾を掴んだ。自分自身が暗殺されるターゲットとなるように仕組んで囮になり、きらめきの仲間の刺客(暗殺者)を誘き寄せたのだ。危険を察知し、その男は引き返したが、ソクミタはその影を見逃さず、追いかけた。
裏社会を走り、飛び越え、登り降り…逃げる男を、全力疾走して追いかけた。しかし男は警察官の相手をする状況に慣れており、楽しんでいる様子だった。逃げながら、「追いついてみろよ、警察官」と挑発し、紙吹雪と薔薇の花びらをまいた。
ソクミタ「くそ、見失った…!」
そのとき、別の何者かがソクミタの背後に近付いて、襲いかかった。一瞬の出来事だった。ソクミタは自分の胸をみて、ショックを受けた…ソクミタは刀で胸を貫かれていた。
背後にいる人物は刺さったままの刀を持ち上げた。ソクミタの体は裂かれて、体はぐっと持ち上げられた。
耳元で囁かれた…「どうされたい?」
ソクミタ「…ァ、…んぐ…ッ!!、な、何者だ…!」
乱暴に刀を抜き取られ、振り向くと…ふわふわの黄色い髪、ギラギラと光る真っ赤な瞳の男がすました顔で立っていた。しんだふりをしたソクミタは隙を見て体を治癒し、立ち上がって逃げた。
走れ、逃げろ!…しかし、男は建物によじ登って飛び移り、先回りして待ち構えていた。その男も、人知を超えた力の使い手だったのだ。
戦ったが…その男は異様に力が強く、ソクミタは何度も切り裂かれた。何度も体をバラバラにされた、何度も、何度も。そして…意識を失ってしまった。
気が付くと、手足を縛られた状態で、鉄の箱の中に入れられていた。口にはテープが張られており、声も出せなかった。
先ほどの男が箱の蓋を閉じようとしているのが見えた。重い鉄の蓋には大きくて鋭い棘がいくつもついている。蓋を閉じてしまえば、その棘が全身に突き刺さるだろう。もがくソクミタに男が声をかけた。
??「やっとゆらめきちゃんの情報を掴んだのに。邪魔しないでよ、ソクミタちゃん。まぁいいか、君の記憶を見たおかげで、もっとゆらめきちゃんに詳しくなれたよ。
はぁ…不死身って面倒くさいね。蓋を閉じても、頑張れば出てこられるんでしょ?じゃあ、諦めたくなるくらい頑丈にして、閉じ込めてあげる♪
痛くて暗い闇の中で、心が死ぬまで、心の闇と向き合ってみれば?
…裏社会だけじゃない、この星はどうせ、闇だらけなんだ。あはは、君もすぐにわかるよ。」
蓋がかぶせられて、暗くなっていく。体の感覚が無くなっていく。
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ソクミタ「クソぉ、クソぉ…!!!はぁ、はぁ、はぁ…!!!わたしの心は死なない、諦めない…!!!」
ソクミタは三日かけて、鉄の箱から脱出したが…。その間に、男に行動されてしまった。「ゆらめき」「きらめき」「ささめき」の存在は再び闇の中に消えた。男の正体もわからないままだ。
ソクミタ(探さなければ…!…グっ…痛い…最悪だ…はぁはぁ)
ボロボロの体。それでもソクミタはこの国と、この星の闇と、戦い続けるため…決意して立ち上がり、警察署へと戻った。
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「ソクミタの影」は「星のはなびら」の前日譚です。興味がある方は、ぜひ「星のはなびら」も読んでみてね♪(ソクミタたちは登場しませんが!)。ソクミタの影は二章の過去編として作った物語なので、とりあえず二章まで読むのがおすすめ♡
ハルやベーゼ、ポポタマスはオリジナルノベルゲーム「口裂けカレシ」にも登場します。YouTubeでキャラクターソングも公開中。こちらもぜひ!
… …
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荒花ぬぬ