【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】最終話(15話)・中編①

小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲームがひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)

オープニングテーマ曲「ゲームオーバー」

読み始める前に

異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)

【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】最終話(15話)・中編①

 ーーー☆前回のあらすじ☆ーーー

クロサキとおよそ1000人の金魚八メンバーは、深海の宇宙と協力することで、更に強い組織へと成長したいと思い、一致団結した。しかしそれはイフのワナだった。

真実に気が付かないまま、話し合いでの解決を望んだクロサキたちを、イフは真金魚八には相応しくないと判断し、切り捨てようとしたのだ。

イフは自らの特殊能力…暗黒の力…で相手を殴りつけて心を砕いたときにのみ作りだせる「絶望の破片」という秘密アイテムを使って、深海の宇宙を消すつもりだった。絶望の破片は使い捨てでまちまちだが、深海の力を打ち消すこともできる無敵の魔法を秘めている。

しかし真金魚八の幹部 さやらんは随分前からイフを裏切っていた。こっそりと真金魚八メンバーたちと手を組み、金魚八がある宇宙ごとイフを複製し、イフにイフの心を砕かせて、強力な絶望の破片を量産していたのだ。

全てを失い、イフは気が動転していた。絶望のイフ(絶望の破片を額に埋め込まれ、心が暗転した強化イフ)を前に、手も足も出ず、あと少しでしにそうだった。クロサキは仲間のかえると力を合わせて、イフを救出した。一連の流れをみていたからすは、深海の力を発動し、クロサキとイフ、金魚八メンバーを青色の星にワープさせて救出した。

さやらんの真の目的や真の強さは不明だが、このままでは深海の宇宙も金魚八も、何もかもがほろぼされてしまうだろう。100人の絶望のイフと、真金魚八の力を独り占めしているさやらんは絶対に、ぜ〜ったいに強い。

イフは数々の生きものを傷付けて悲しませ、支配しようとしてきた、恐ろしい存在。からすの両親が命を失うきっかけを作り、心やさしい秘書 カチョロ(カチョーロチロム)を長年虐げてきた。そんなイフが、実の兄だったことを知ったからす……ねぇ、どうする!?それでも「全員」の力をあわせて立ち向かわなければ、きっと、仲間も自分の星も宇宙も、守れない〜!?!?

 ーーー☆前回のあらすじ(おわり)☆ーーー

青色の不死の星

からすは深海の力を発動し、金魚八のメンバーとクロサキ、イフを青色の不死の星にワープさせて救出した。からす達の周囲に、ワープしてやってきた金魚八のメンバー達(1000人くらい)が、疲れた顔をしながら、ぞろぞろと集まって来た。皆、怯えており、助けを求めている。からすは悲しそうに、はぁ…とため息をつきながら、ディスプレイを消した。

クロサキ「からす、ありがとう、助かったぜ。」

からす「……こんな事になるなんて。」

クロサキ「ああ〜マジでやばい事になった。とりあえず、イフを布団に寝かせよう。さくま、魔法で布団を用意してもらえるか?なるべく快適なヤツを頼む!」

さくまが「仕方ないな」と言いながら、面倒くさそうに魔法で布団を作り出した。クロサキはイフを寝かせた。

さくま「くくく、こんなところで寝かされて、快適も何も無いだろう。…そばがら枕だから涼しいとは思うがな。」

クロサキ「センキュー。イフの奴、大ケガしてるって。しんじまう前に、回復魔法を使わねぇと。」

さくま「おい、待て。こんなやつを回復させて大丈夫なのか?そもそも、こいつの傷は回復できるものか?」

クロサキ「ああ、大丈夫だ。消沈してるだろうから、今さら暴れたり怒ったりしないだろ。暗黒の力とかいう未知の力は、深海の力で浄化されていたし、残ってるのは殴られたときのケガだけだから、さくまの回復魔法でも、普通に治せると思う。」

さくま「ふぅん。わかった、やってやろうか。」

かえるたちは空気を読んで、テクテクと歩いて、離れて行く。さくまはイフに手をかざし、回復魔法を発動した。組織のメンバーやクロサキ、からすたちはイフを囲んで、不安そうに眺めている。回復魔法が染み渡り、傷は癒えた。

しかし、イフは目覚めない……。

クロサキはイフの耳元に顔を近づけて、大声をだした。

クロサキ「イフ!!寝たフリするな!!!」

イフ「キーィッ、うるさいですね!」

イフは掛け布団に包まって隠れた。クロサキは布団をひきはがそうと引っ張っている。

布団を引き剥がされたイフは拗ねて、敷布団の上で大の字で寝っ転がった。

クロサキ「さやらんって誰だよ、何が起きてるんだよ、これからどうするつもりなんだよ、今すぐ全部説明しろ!!」

イフ「クッ、ころせ…。」

クロサキ「何言ってるんだッ!ころすわけねぇだろ!」

イフ「うるさいうるさいうるさいですね!!何が起きてるって……話を聞いていなかったのですか?聞いていなかったとしても、見ればわかるでしょうッ!?

ワタクシは部下のさやらんに、正々堂々と、裏切られたのです!!

ワタクシはセカイを司る魔法使いに嫌われていて、とっくに人生終わってるんですよ。ずーーーっと、なにもうまくいかない、ぜーーーんぶ自業自得、滅茶苦茶、八方塞がりなんですよ!クソクソクソッ!

 …先程は強がって話していたんです。実際は、組織としてまとまりがあったのはグループ壱だけで、グループ弐〜七はまとまりがなかったんですッ。裏切り者が多くて人数も少なかった。ワタクシにはタメ口で話すし……敬意も礼儀も知らないし……魔法しか出来ないバカばかり……。皆、カチョーロチロムがいなくなったことと、ワタクシがゆずはに負けて帰ってきたことに呆れて、ひねくれてしまったんです。

グループ壱がまとまっていたのは、アナタが…幹部のクロサキがいたからだと思います。アナタは良いですね、人望があって。

ワタクシはもう、何もかもがどうでもよくなりました。コメットがいつ、どのタイミングで記憶や自我を取り戻すのかは不明ですが、…いくら策を練っても、結局は全て悪あがきなんですよ。

遅かれ早かれ、セカイは終わります。しかしワタクシ達には無関係です。コメットが目覚める前に、ここにいる全員がさやらんのオモチャにされて、心を暗転させられて、このセカイから消されるでしょうからね。」

クロサキ「無駄っていわれても、何もしないわけにはいかないだろ!イフはさやらんのこと知ってたんだろ?あいつ、何者なんだよ。強いのかよ。」

イフ「ええ、あの子は強い。とても強い。グループ壱のメンバーが束になってかかっても、誰も勝てないでしょうね。

あの子は金魚八の特級魔法使い。美しくて、煩わしい存在です。未来の魔法も、古代から受け継がれる魔法も思いのまま操る並外れた魔法技術、体術、そしてセンスを持っている。

さやらんは遠距離魔法や騙し討ち、隠蔽(いんぺい)魔法が特に得意な魔法使いで、金魚八の秘密がもれてしまわないように、真金魚八で情報を管理する仕事をしていました。

……しかし、さやらんの素性については誰も知りません。

さやらんはいつも、モニター越しかホログラム(魔法の光でできた立体画像)で現れる。さやらんの生身の体を見たことがある生き物はいないと噂されていました。

出身はアナタ方と同じ深海の宇宙で、大昔の星の化身……だと、さやらんは話していましたが、あの子の過去を知る生きものはいない。いつから金魚八にいるのかもわからない。」

クロサキ「いつから金魚八にいるのかわからないことはないだろ。イフが金魚八に誘ったんだろ?」

イフ「恐らく。」

クロサキ「恐らくってどういうことだよッ。履歴書無くしたのかよ!」

イフクーン「履歴書も含めて、金魚八の情報管理は全てさやらんがひとりで行っていたのです。コメットに関する情報も、人員に関する情報も、宇宙や魔法に関する情報も、全て、あの子が握っていました。あの子は全てを知っている。ワタクシは従順なさやらんを信用しきっていました。

さやらんが裏切り者だと判明してしまったので、ワタクシやクロサキ、カチョーロチロム、金魚八のメンバーが把握している全ての情報は、信用できない屑と成り果てましたね。

あの子は絶望の破片を持っているでしょう?ワタクシ達の記憶は既に書き換えられている可能性もある、ということです。」

クロサキ「はぁ〜?何もわかんねぇじゃん、怖いこと言うなよ。……さやらんは今、どこにいるんだよ。真金魚八ってどうやったら行けるんだ?」

イフ「さぁ?わかりません。真金魚八がある宇宙は時空のトンネルの深層に隠されてしまっている様子……今はどこにあるのかも、あの子がどこにいるのかも不明。

さやらんはきっと今も、ワタクシたちの様子をどこからか観察している。隙を伺って笑っているのです。

はい、身にしみてわかりましたね、逆らおうとしても、……無駄無駄無駄。無駄なんですよ。

ママもパパももういないし、絶望の破片もひとつも残っていないし。

ワタクシは時空のトンネルを移動するような、複雑な魔法は扱えないので、その都度、絶望の破片を消費していたのです。…チッ、全てゆずはが悪いんです。

ゆずはの態度があまりにも悪くて、本当にイライラしたので、貴重な絶望の破片を、ふうがの心を操ることに使ってしまったッ……ッ。しかも、使わずにポケットにしまっていた絶望の破片も、ふうがの宇宙船で全て無くしてしまいまった。宇宙船が回転したり、最悪なにおいを出したりしていた時に、落としてしまったんです。

破片を節約して使わなければと毎日考えて、イライラしてましたが、今は何も感じない、欲しくもない。暗黒の力、絶望の破片なんてかっこいい名前を付けて、誇らしく思っていた自分自身が恥ずかしい。

ああ、恥ずかしい。みすぼらしくて、かわいそうなワタクシ……。

ワタクシのことは好きにしていいので、放っておいてください。」

イフは完全に燃え尽きてしまった様子だ。クロサキは「諦めるな、しっかりしろ、リーダーだろ!」と応援している。

ユニタス「みなさま、油断しない方がいいと思いますよ。」

ささめき「そうよ、皆気をつけて。きっとイフは私たちを油断させるために演技してるの。イフは「暗黒パンチ」して心を砕けば、いくらでも絶望の破片を手にいれられるのよ?隙を見て、私たちに攻撃をしかけようとしてるのよ。」

イフ「暗黒パンチ?変な名前をつけるな!今更アナタ方の、貧弱な絶望の破片を手に入れたところで、なんの意味もありません…さやらんが大量に持っている絶望の破片は、相当な能力を有しているはずですから。」

さくら「さくま。イフの思考とか記憶とか、読めるか?教えてくれよ。」

さくま「ああ。コイツはもうダメだ、記憶も思考も丸見えだ。嘘は話していないし、完全に開き直って、諦めているぞ。

どうする?絶望の破片を額に宿していたイフ「絶望のイフ」が攻めて来るぞ。さやらんは、絶望のイフは百人くらいいるとか言ってなかったか?直ぐに追いかけてくると思ったが……遅いな。いや、油断はできない。何もせずにだらけていたら、我らの宇宙はほろぼされてしまう。」

ささめき「暗黒の力も絶望の破片も最悪ね。人の心を砕いて、暗転させるなんて…許せないわ。でも、敵の力は未知で強大。

まずは緑色の発明の星に住んでいる人たちを、私たちの星に住んでいる人たちと同じように、異世界にワープさせて、避難させるのがいいんじゃないかしら。タコタコタコ星はここから遠いけど、緑色の星はすぐ隣にあるから、戦いに巻き込まれてしまうでしょ?

……勝手にやっても、ことお達、怒らないでしょ。」

からす「わかった。ことお君達には後で事情を話すとして、今すぐ皆をワープさせよう。」

さくら「あ〜マジでどうすんの?俺たちも異世界に逃げる?いや、でも、宇宙ごと消されたら何もかもがなくなっちまうし、意味ないよな。作戦たてる時間もねぇし。…ラーメンでも食っとく?ユニタス、ラーメン好き?」

ユニタス「ラーメンは好きですし食べたいですが、人生最後のラーメンにはしたくありませんよ!?」

からす「…。」

からすは、手のひらをぎゅっと握った。不安と恐怖。震えをおさえるために、強く強く握った。そして、目を閉じた。

さくらのこと、仲間のこと、青い星のこと、緑色の星のこと、タコタコタコ星のこと、イフと金魚八のことを考えた。

そしてお母さんとお父さんのことを考えた。星の民のため、星のため、宇宙のため。「その前にたった一人を幸せにしてみなさい」という、お母さんの言葉のことを考えた。深海の力のことを考えた。

考え事をしているからすを見たさくらは、からすの手に、自分の手をひらを重ね合わせた。

さくら「からす、ひとりで考えんなよ。大丈夫、何も心配いらねぇよ。」

さくらはからすが今何を考えているのか、どんな風に悩んでいるのか、感じとっていた。

さくら「俺は昨日も今日も明日も明後日も、ずっと幸せだ。からすが一緒にいてくれるからな。俺だけじゃねえ、ささめきもさくまもむむも皆、からすに感謝してる。からすは一人どころか、いっぱいの人を幸せにしてる。だから遠慮するなよ。

からすがやりたいと思ったことをやってみようぜ。一番目にやりたいことも、二番目にやりたいことも、三番目にやりたいことも、全部やってもいいんだ。試してみてもいいんだ。空気読まなくてもいいよ。

やってみたことが最善じゃなかったとしても、皆はからすなら大丈夫だって思ってるし。」

からす「……さくら君。ありがとう。」

からすはもう一度、さくらのこと、仲間のこと、青い星のこと、緑色の星のこと、タコタコタコ星のこと、イフと金魚八のことを考えた。

そしてお母さんとお父さんのことを考えた。「星の民のため、星のため、宇宙のため。その前にたった一人を幸せにしてみなさい」という、お母さんの言葉のことを考えた。深海の力のことを考えた。

考えた、考えた……考えれば考えるほど

勇気が湧いてきた。

その勇気は、不安や恐怖よりも、ずっとずっと大きかった。

ーからすの心に曇りや迷いはなかったー

からすの心は、ずっとずっと前から決まっている。金魚八、イフ、さやらん……恐ろしい予感、強敵、悲しい過去、壮大な秘密……関係ない。どんなことがあっても、からすの「いちばん大切にしているもの」「やりたいこと」だけは揺るがない。

からす(どうすることが正しいのか?と考えはじめれば、怖くて不安な気持ちになってしまうが……、

わたしは何があっても、さくら君を守りたい。それが全てなんだ。

さくら君の涙を見たくない。

さくら君を失いたくない。

さくら君の味方でありたい。

さくら君と恋をし続けたい。

さくら君がさくら君らしく、楽しく生きられる未来と手段を選びたい。)

からすは決意して、皆に呼びかけた。

からす「さくら君、ささめきちゃん、さくまちゃん、ユニタス君と、クロサキ君と、イフ。それから、金魚八の皆。聞いてほしいことがあるんだ。

そうだ、他の星の皆にも聞いてもらおう。」

からすはマウスを手に取り、カチカチッと押して、再びディスプレイを表示させた。

そこには、ビデオ通話のように、タコタコタコ星にいる仲間たちと、緑色の発明の星にいる仲間たちが映っていた。

からす「もしもーし、みんな〜、わたしの声が聞こえるか?映ってるか〜?」

からすは手を振って、画面の向こうにいる皆に声をかけた。

ーーー

…緑色の星…

ことおとむむたちは、趣のある庭園のベンチに腰掛けて、お茶を楽しんでいた。三色団子を食べていたことおたちは、突然空中にディスプレイが現れて驚いていた。そして、画面の向こうにいるからすに、楽しそうに手を振ってみせた。

むむ「うん、ばっちり映ってるよ。どうしたの?からす君。」

オキ「僕たちの顔が見たくなったの?」

とおこ「お兄様!はい、あ〜ん♪」

とおこはことおの口元に三色団子を近付けている。

ことお「あ〜ん♪♪」

とおこはことおには食べさせず、自分の口に団子を入れた。モグモグ。

……しかし、ことおは怒るどころか、幸せそうにニヤニヤ笑っている。(なんだか気持ちよさそうにもみえる。)大好きな妹にイタズラをされて、爽やかに喜んでいるのだ。

とおこは、「お兄様ったら、お優しいのね」と微笑み、別のお団子(みたらし団子)に手を伸ばして、ことおの口にいれた。

ことお「おいしぃ〜♪♪」

オキとくまは、ことおの星の力で、食べ物が食べられる機能が追加されていた。食べたものは体内で溶けて魔力に変換されるため、食べれば食べるほどパワーアップする仕組みだ。

隣にいるくまは美味しそうにピンク色の団子を食べている。オキも真似をして、みたらし団子を口に入れてみた。

オキ「ちぇ。三色団子もみたらし団子も、土も草も、お茶も水も油も、どれも同じ。こんなの……刺激が足りないよ。つまんないし、食べるのは面倒。もっとビリビリする食べ物があればいいのに…。」

オキが食の楽しみを実感するには、まだまだ時間がかかりそうだ。 

オキ(ことお君はどんな味がするのかな……。食べたらしんじゃうから、ダメか……。)

ことおは「からす、何かあったの?」と、魔法コンピューターを操作しはじめた。

ことお「……。……ん?もしかして、俺たちが庭園で寛いでいる間に、超ヤバいことが起きちゃった感じ!?緑色の星の住人全員が異世界にワープしてるし、なにこれ……、なにこれ!?何があったの!?もう俺、何もしたくないし、平穏な日々を失いたくないんだけどー??」

オキ「ことお君、慌てても仕方ないよ。からすの話を聞こう。」

むむ(……からす君たちの緊張感が伝わってくる。あたし、頑張らなきゃ。)

ーー

…タコタコタコ星(レストラン)…

イカパチたちはレストランにいるようだ。ステーキやオムライス、スパゲティ、エビフライ、たこやきなどのご馳走が、机いっぱいに並べられている。全て大盛りだ!突然空中にディスプレイが現れて、皆慌てている。

イカパチ「やばやばッ☆、クロサキ君に内緒で、仕事サボってご馳走を食べてたのがバレちゃったね!」

ミニキス「からすさんどうしたん?不安そうな顔してるやん、もしかしてなんかあったん?」

フィカキス「モグモグ、タコさんウインナーおいしいなぁ。」

タコダイオウ「なにやら、大事な話がありそうな雰囲気ですね。」

タコパチ「でも、まだご飯食べきってないよ……。この後、デザートも運ばれて来るのに。」

イカパチ「からす君たち〜、5分だけ待ってもらってもいい?5分あれば、僕たちこの料理全部食べきれるから!お願い。」

ディスプレイの向こうにいるイカパチたちは、とってもマイペースだった。

さくら「いや、待てねぇよ!!」

からす「ご、5分で食べ切れるのか!?ご飯は残さず、美味しく食べてほしいが……。」

クロサキ「マシロ、ずるいって!俺も腹減った。食いてぇ〜。」ぐぅ〜

イカパチ「ご、ごめん!でもこの後は、クロサキ君とデートするつもりだったんだよ?♡ふたりきりのディナー♪ロマンチックな夜景と観覧車を眺めながら、ステーキとワインを楽しむの。クロサキ君は赤ワインと白ワインどっちがいい?特別な夜にしようよ♪」

クロサキ「はは、何言ってんだよ、ハニー♪俺が食いてぇって言ったのは、ステーキでもタコさんウィンナーでもなく、マ・シ・ロだ♡俺を酔わせられるのはマシロだけだから、赤も白も選べねぇ。」

イカパチ「きゃっ///クロサキ君……照れちゃうよ……。」

クロサキ「マシロ、特別な夜が欲しい?俺が欲しい?はぁ、欲張りでほんと可愛い。……全部あげる。俺の自慢のワイングラスが、マシロに白ワインを飲ませたがってる♡一緒に楽しもう。それから〜」

さくらはクロサキの肩を掴んで、ディスプレイから引き離した。

クロサキ「さくらテメェ邪魔するなよォッ!!」

さくら「イチャイチャするためのディスプレイじゃねぇよ!」

タコダイオウ「まあまあ。これくらい、5分もあれば食べきれますよ。急いで食べても、ゆっくり食べても、美味しいものは美味しいですし。しかし、実際に間に合うかどうかは、タコパチさんが追加注文したデザート次第ですかね?」

ユニタス「タコパチさん、何を注文したのですか?」

タコパチ「デザートはすき焼きだよ」

さくま「すき焼き!?」

ささめき「そんなの、絶対間に合わないわよ。食べながら話を聞きなさいッ。」

タコパチ「わ、わかったよ。それで、話って何?もしかして、宇宙がほろぶ……とか?」

ーーーー

からすは「よし!話すぞ〜、皆、聞いてくれ!」と気合いを入れて、顔を上げた。その瞬間、柔らかかった空気が引き締まった。

深海の宇宙が静まった。

からすは目を閉じた。からすには宇宙のさざなみの音が聞こえていた。それは、美しい音色だった。

からすはその音色に耳を傾けた。そして、右手をあげて、人差し指をゆっくりと揺らしはじめた。その音色はからすの動きに寄り添い、リズムや音の強弱、波長を合わせはじめた。

全ての魂…演奏家…たちに、自分自身の想いや意思を伝えて、ひとりひとりの能力を発揮させるために、指揮をする。深海の宇宙という音楽を作り上げていく。

思いえがいたメロディは、目に見える形、光の粒に変化し、右手に集まりはじめた。サファイアブルーの光は、タクトに変化し、手のひらに収まった。

ー深海のタクトー

からすは目を開けた。深海のタクトをぎゅっと握り、話しはじめた。

からす「金魚八は仲間割れしてしまったんだ。真金魚八の幹部さやらんと、絶望のイフたちが、暗黒の力と絶望の破片を使って、わたしたちの宇宙をほろぼそうとしている。

でも、大丈夫。わたしたちが諦めないかぎり、希望は消えないから。

暗黒の力は心を砕いて暗転させてしまう恐ろしい力だ。深海の力を打ち消すこともできるし、とっても強い。

しかし、わたしたちには効かないはずだ。わたしたちは、寂しい気持ちも、悪い人の気持ちも、心配する気持ちも、信じる気持ちも知っている、強くて優しい戦士だから。

大切なもの、守りたいもの、たたかう理由が、みんなの中にあるはずだ。それがあれば、心が暗転してしまったとしても、自分を取り戻して、何度だって、立ち上がれるはずだ。な?心配いらないだろう?

わたしにもある、たたかう理由が。たたかうと言っても、やっつけたいわけじゃないが…なんていうか、みんなが強くて頼もしいから、負ける気がしないんだ。本気をだしたらどこまでやれるのか知りたいと思った。わたしも自分の力を試してみたいんだ。

わたしたちが力を合わせたら、イフがこれまでできなかったことも、できる気がするんだ。さやらん達からセカイを守ったり、セカイを救う方法をみつけたりすることもきっとできる。

そのための一歩を踏み出す!!

それがわたしのたたかう理由。

生き物はみんなそれぞれの武器を持っている。性格や特技、失敗や成功した経験、魔法、才能、頑張ってきたこと、手に入れたもの、全ての出来事……それは、優劣ない唯一無二の武器だ。

わたしも自分だけの武器を持っている。

それは

ずっと…

ずっと、秘密にしていたことなのだが。

実はわたしは、深海の力とよばれている、不思議な魔法を使うことができるんだ。

これは、大切な仲間たちを守るために、奇跡を呼び覚ますことができる力だ。

わたしは皆の力と、この力を信じている。

奇跡は優しい人のところにやってくる。だから、諦めずに立ち向かおう。

いちばん大切なものを守るために、セカイを解決するための道しるべを探すんだ!」

からすは、さくらや仲間、宇宙を守るために、深海の力を使うことを宣言したのだ。からすはさやらんや金魚八について説明し、知っている情報を共有した。緑色の星の住民を避難させたことも。

さくらは、ずっと背負い続けていた秘密を打ち明けたからすをみて、涙ぐんでいた。からすはとてもかっこよく、頼もしく、そして誇らしかった。

さくら「からす!俺の武器は、からすだ。からすがいるから強くなれるっていうか…真面目に頑張りたいって思えるようになったから。からすを守るために俺もたたかう。俺は大丈夫だから、ビビらずに背中預けてくれよな。」

さくらはからすの背中に抱きついた。

からす「ありがとう。さくら君は頼もしいなぁ……本当に、本当に、大好きだ。さくら君がいなければ、今のわたしはどこにもいなかった。わたしの勇気や深海の力は、さくら君がいるからこそ湧き上がるんだ。心から感謝してる。ありがとう!」

さくら「へへッ。ありがとう、愛してる。」

からす「わたしも、愛してる。」

青い星の仲間たちも、感心していた。

ささめき「私、不安でいっぱいだった。さやらんと絶望のイフにどう立ち向かえばいいのかわからなくて、持ちかけるべき取引も、作戦も、何一つ思いつかなかったから。でも、もう大丈夫ね。 

私たちの心は砕けない、だから暗黒の力は効かない……。ふふ、そうね。その意気よね。からすさんはさやらんたちと正面からたたかうつもりだと聞いて、スッキリしたわ。

八方塞がりなんかじゃないわ。道しるべをみつけるために、私も立ち向かいたい。」

からす「ささめきちゃん、頼りにしているぞ。」

さくま「百人の絶望のイフを全員、蹴散らしてやるのか!はぁ、面白くなってきた。皆で本気でたたかう機会なんて、なかなかないからな。」

朝焼け空に魔法陣が現れて、ブレイブ☆タコキス、フィカキスが現れた。その魔法陣からむむ、ことおとオキ、とおこ、くまも飛び出てきた。

むむ「からす君♪あたしもからす君が本気だしてるところ、見てみたいな。あ、でも、あたしって強いから、その前に全員やっつけちゃうかもね。」

からす「むむちゃんはイフとたたかったことがあるし、活躍するだろうなぁ〜。」

むむ「えへへ♪がんばるよ。」

むむの隣にいるとおこは、むむの手をぎゅっと握っており、キャッキャウフフしている。

とおこ「ねぇ、むむちゃん、あたくしにできることはあるかしら?お力になりたいけれど、難しいことはわからないし……緑色の星の民は大人しいから、たたかうことがとっても苦手なのよね。宇宙が消えてしまったら、お茶を飲めなくなるし、天ぷら食べられなくなる……困ってしまいますわ。」

むむ「うん、とおこちゃんにできること、いっぱいあると思うよ。ことお君とオキ君が暴走しないように支えてあげてほしいし?。とおこちゃん、未来を予知する特技があるって教えてくれたよね?それを使って、一緒にたたかってみようよ。」

とおこ「ええ、あたくしは未来を予知できますわよ。でも、自由自在に読めるわけではありませんのよ?時々、未来の出来事に関する夢を見ますの。

少し前に見た夢も不明瞭で、記憶も曖昧。たしか……イフさんが個性的な装いの男性と、握りこぶしでファイトをしている内容でしたっけ。周りにいる人たちは困っている様子でしたわ。

……個性的な装いの男性がどなたなのかは、ここに来てから、皆と、お話してからわかりましたわ。イフさんと戦っているのは、ユニタスさんかタコダイオウさんのどちらかかしらね。

あたくしにはそれ以上のことはわからないけれど、むむちゃんはとってもクールな女性ですもの♪頼りにしてますし、力をお貸します♪」

むむ「うん!……ユニタス君かタコダイオウ君のどちらかがイフとたたかっていたのかぁ。握りこぶしでたたかっていたと言うことは、魔法は使っていないということかな?。ユニタス君は星の力や魔法を使えるはずだし、たたかっているのはタコダイオウ君かな?つまり、青色の星だけではなく、タコタコタコ星にも絶望のイフはやってくるってことだね。タコタコタコ星に住んでいる人も、異世界に避難させた方がいいんじゃない?」

こっそり話を聞いていたブレイブ☆タコキスがやってきて、むむたちに声をかけた。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「タコタコタコ星のことは大丈夫、心配いらないよ。イカパチとタコダイオウさんが星に残って守っているし、皆やる気満々だよ。レッドデビル☆カンパニーを信じよう。

タコタコタコ星の星の住人たちは魔法が得意だから、異世界にワープさせたら、皆気が付くと思うんだよね。大混乱して暴れたり、デスゲームを開催して遊びはじめたり、命を奪い合ったりする可能性が高い。助け合いつつも、自分の命は自分で守るやり方がいいと思う。」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「オレとタコパチとフィカキスは、この辺の宇宙で待機することにするわ。異変に気がついたら、すぐテレパシーで連絡するからな。」

ブレイブ☆タコキスはニコッと笑って、赤色のメガネをクイっと動かしてみせた。

むむ「おっけー!」

からす「皆、ありがとう!」

フィカキス「ちなみに、レストランの料理は全部食べきったで。デザートも含めてな♪。おなかいっぱいやし、元気モリモリってことや。じゃあみんな、気をつけてな!」

さくら「すっげぇ食欲だな。」

ブレイブ☆タコキスとフィカキスは、ワープ用の魔法陣を出現させて、飛び立った。

とおこ「でも、お兄様のことが心配ですわね。お兄様は穏やかな性格で、たたかうことは苦手ですし、新しいお仲間のオキさんも、のんびりするのがお好きみたい。どこかに隠れていてもらったほうがいいかしら?お兄様、どうしますの?」

ことお「え!?……。えっと……。ゴニョニョ……。」(俺とオキが意気揚々とたたかいはじめたら、驚かせてしまう。破壊にハマっていたから強くなったなんてこと、絶対知られたくないって!。とおこの前では真面目なお兄ちゃんのままでいたい、でも、俺もヤりたい。どうしよう〜!。)

からす「ことお君、オキ君。さくら君が呼んでるぞ〜。」

オキ「さくらが?」

ことお「?」

さくら「え?俺???」

からす「さくら君がことお君とオキ君に、たたかい方を教えたいと言っているぞ。せっかくの機会だし、あっちで練習しておいで。さやらんたちと対決する頃には、ことお君もオキ君も強くなってるかもしれない。」

さくら(俺がことおとオキに、たたかい方を教えたフリをして、それで戦えるようになったという設定にするわけか。)

ことお「あはは♪じゃあ、ちょっとたたかう練習してくるよ♪さくら、よろしく!」

オキ「ふーん。まぁいいや、付き合ってあげるよ。くまもおいで。」

からすはさくらに「よろしく」と、ウインクした。

さくら「よし、ついてこい!俺の弟子にしてやるよ。」

とおこ「お兄様、がんばるのよ〜♪応援しておりますわ!おケガをしないようにね〜、うふふ。」

さくらはことおとオキを連れて、その場を離れた。とおこから見えない場所に移動した後、さくらはことおたちにベッと、舌を出した。

さくら「お前らに教えることなんて、何もねぇよッ!」

オキ「僕たちの方が強いもんね。くまもそう言ってる。」  

くまはオキの肩の上で、胸を張っている。

さくら「うるせーッ!!……からすが、お前らが思う存分たたかえるように気を利かせたんだから、感謝しろよな。」

ことお「感謝♪感謝♪……そうだ!逆にさ、俺たちがさくらに、何か教えてあげようか?時間はあんまりないだろうけどさ。」

さくら「はぁ〜?まさか、俺に魔法を教えようとしてる?笑。ムリムリムリムリ絶対ムリムリムリムリ。俺、3000年以上生きてる上に、宇宙でいちばん星の力を持ってるとか言われてたけど、超不器用だからな!?」

ことお「3000年!?超歳上じゃん。さくらって超若く見える、赤ちゃんみたい。」

さくら「赤ちゃんじゃねぇよ!」

ことお「冗談冗談♪さくらが不器用なわけないじゃん。異世界と魂を管理して、死後の世界を構築していた元星の化身が何を言ってるんだか。……面倒くさがらずにやればできるって。」

さくら「天国や地獄を構築するのも1000年近くかかったんだ。要領が悪いし手抜きだし、大量の星の力を消費しちまったし、正直めちゃくちゃだぜ。パンの焼き方やレジの操作を覚えるのも、皆の倍の時間かかっちまうし、接客は下手だし……得意なことと苦手なことがハッキリ分かれているタイプなんだよ。」

ことお「俺もそうだよ?。俺は、コンピューターとかロボットとか武器を発明するのは得意だし、医薬関係の知識もあるし、スパイ活動をするのも得意だけど、運動神経は微妙。生身じゃ飛べないし、素早く動くのも無理って感じ。さくらも、得意なことを伸ばせばいいんだ。何が得意?。」

さくら「……ことお、飛べねぇの!?」

ことお「うん、飛ぶのって結構コツがいるんだよ。練習したけど、難しいね。」

さくら「マジか。意識したことなかった。俺は飛ぶことは得意かもしれねぇ…。スピードだけみればむむにもオキにも負けるだろうけど、毎日天国から現世、地獄に移動してるし、遠距離も、ぜんぜん苦じゃねぇんだ。」

ことお「それ、特技じゃん。からすは飛んだり高速で移動したりするのは、慣れてないんだろ?い〜ね♪……よし、決めた。この発明品はさくらに託すことにした!遠慮せず受け取って☆」

ことおが指パッチンすると、さくらの目の前に見覚えのあるマシーンが出撃した。

さくら「あ、これ、K(ことお)-時空逆転マシーンじゃん!」

ことお「オキとユニタスが持ち帰ったデータを分析して改良した新型だよ。名付けて、「真・K-時空逆転マシーン」!

時空のトンネルだけじゃなく、普段使いも可能!背負ってスイッチを押すと、搭載している力や魔力を噴射して、ジェット機になれる。噴射する量はレバーで調整できる。

そして!

この「絶対おすな」というシールが貼ってあるここのスイッチを押すと……。」

さくら「お、押すとどうなるんだ……?」

ことお「なんと、時空のトンネルにワープできるんだ!!」

オキ「さくら、気をつけて。この機能には、重大な欠点がある。それは、どんな時空のトンネルにワープするかわからない。完全ランダム仕様であること。

時空のトンネルは宇宙と宇宙を繋げている空間だけど、詳しいことはわからない。ことお君は線路の様なものなのではないか……と推測している。でも宇宙も時空のトンネルも数え切れないくらいあるみたいだし、時空のトンネルは自分用に新たに作り出すこともできるみたい。とにかく、気持ち悪いくらい複雑なんだ。

どの線路(時空のトンネル)がどの駅(宇宙)に繋がっているのか理解して、危険な空間を行き来するなんて、想像もできない。時空のトンネルを行き来できるのは、異次元的なレベルの魔法使いだよ。すぐには真似出来ないね。」

ことお「真・K-時空逆転マシーンの機能はオキとくまの体にも搭載したけど、……短時間で適当に作ったヤツだから、何が起こるのかはわかんない。高速移動するのに便利だとは思うけど。さくらにあげたやつも試作品だし、実戦で使えるかは知らないね。」

さくら「試作品なのに「真」って名前つけたのかよ。……ていうか、どうして時空のトンネルにワープする機能なんかつけようと思ったんだよ。」

ことお「時空のトンネルにロマンを感じたんだ。それに、絶望のイフとさやらんは時空のトンネルを使って俺たちの宇宙にやってくるだろうから、俺たちもトンネルを行き来できたら最強だと思った。だけど、開発するヒマも知識も技術もなかったって感じ。

……し、深海の宇宙がほろぼされたときに、自分たちだけ逃げるために開発したわけじゃないからね!」

オキ「(小声)いざとなったら逃げるけどね。」

ことお「とにかく「絶対おすな」ボタンだけは絶対、絶対、ぜ〜ったい押しちゃだめだからね!どこに飛ばされるかわからないからマジで帰ってこれなくなるし、時間の宝石よりもヤバいことになる。どうなっちゃうかもわからないからね。」

さくら「押さねぇよ!実際に使うには、魔力とか星の力を予め搭載しておかなきゃなんねぇんだろ?そんな燃料ねぇし、使いこなせる気はしねぇけど、もらえるものはもらっておく方がいいか〜。それにしても、デザインは改良しなかったのか?何とかならなかったのかよ。」

ことお「はぁ?超可愛いだろ?」

さくら「これ、どうみてもランドセルだろ!」

ことお「ランドセル可愛いじゃん。さくら、似合ってるよ。すっごく似合ってる。最高だね。」

さくら「……あ、ありがとう?褒められてるのか、よくわかんねぇな。」

ことおはユニタスを呼んだ。ユニタスにも真・K-時空逆転マシーンを手渡し、使い方を説明した。

ことお「もう一台あるから、ユニタスにあげるよ。ユニタスはマシーンの使い方を知ってるし、オキとさくらとも仲良いし、オソロ嬉しいよな?体質が変わってロボットじゃなくなってるから、不安もあるかもしれないけど、きっと使いこなせるよ。」

ユニタス「ありがとうございます……これは、すごい!高性能ですね!星も宇宙も時空のトンネルも、自由に飛び回れるくらいの、パワーと機動力を感じます。感心しちゃいますね〜。」

オキ「ことお君は天才だから、すごい発明品を作れるんだ。僕もそのひとつ。感心しちゃうよね。」

ことお「あんまり褒めるなよ、調子乗ってまた正気失っちゃったら大変だからさ〜♪」

ユニタス「僕も頑張ります。オキさんとさくらさん、タコダイオウと力を合わせて!」

オキ「うん。ゆずはとふうがも来てくれるはずだよ。また皆で話したい。ふふ、楽しみだね。」

さくら「楽しみって思えるのすげぇ〜。俺は超不安。」

オキとユニタスはさくらを励ました。

イフ「……。」

……イフはまだ、布団に寝っ転がっている。燃え尽きたイフは、自分にはもう無関係だと思っており、ゴロゴロとして寛いでいる様子だ。

クロサキ「あ〜もう、何やってるんだよ、寝てる場合じゃねぇって、イフも立てよ!!」

クロサキはイフの腕を引っ張って、無理やり立たせた。

クロサキ「金魚八のリーダーはお前だろ、イフ!イフがいっぱいいても、俺たちは俺たちのリーダーを見つけられるし、代わりなんかいないんだ。だから、しっかりしろ!」

金魚八のメンバーたち(流石、おれたちの幹部、かっこいい、頼もしい…!)(拍手)

クロサキ「みんな、聞いてくれ。俺たちのリーダー イフはすぐに生き物を見下す、結構悪いやつだ。嘘つきだし信用できない、嫌いだって思ってる奴もいるよな。わかってる。

でも俺たちのリーダーは、今から心を入れ替えるんだ!

金魚八はイフに支えられてきた。

今度は俺たちがイフと金魚八を支えるんだ。 

…俺たちならできる。だって俺たちは、全宇宙から選ばれた天才なんだ。

裏切り者の好きにはさせるな!金魚八は俺達の生きがい、俺たちの組織だ。

これからの金魚八を作るのは、さやらんではなく、俺たちだ。

深海の宇宙の魔法使い、そしてからすと協力し、金魚八を守れ!故郷や家族を守れ!そして、セカイを守れ!」

クロサキは胸ポケットから紙吹雪を取り出して、撒き散らした後、「金魚八は最強だ!皆で頑張ろうぜ!」と拳を空へ突き上げた。

金魚八のメンバーたちも「おー!頑張ろう!!」「幹部かっこいい!」と声を出し、拳を空に突き上げたり、拍手したり、「ひゅーひゅー」と言って盛り上げたりした。心をひとつにして闘志を燃やしている様子だ。

金魚八メンバーの様子を見たイフは、…リーダーやめたい、責任が重い、しにたくないと呟きながら、頭を抱えた。しかし、クロサキと金魚八のメンバーは、イフに期待している。イフはからすをチラリと見て、(高貴なワタクシが、彼らと共に戦うなんて、考えられない)と、ため息をついた。

その時…

???「僕も 力を貸すよ」

不思議な声が聞こえた。

皆が顔をあげると、優しい風が吹いた。風は花の香りと、不思議な気配を運んできた。風と共に現れたのは、明らかに人間ではない、大きな生き物…カチョロだった。

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