【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】4話

「信じて。宇宙を巻き込むデスゲームに立ち向かえ!」

小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲーム(アンノウンゲームマシロ・恋してタコキス~ほろぼされた星~・(プラネット同一体))がひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。

「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)

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小説「星のはなびら2」
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(゜o゜)♡

読み始める前に

異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)

【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】4話 本文

学生時代、担任の先生から言われた、「強いだけで優しくないやつなんか、おもんないし、なんも自慢できひんで」という言葉を思い出した。

オレ(ミニキス)は今、あの時と同じ間違いを犯そうとしているのだろうか。

大切な人のため?守るため?そんな言い訳をして、思いやりや優しさを忘れそうになっているのだろうか。人を傷つけようとしているのだろうか。

…違う。

そう言い切るために。

オレは自制しなければならないんだ。

― ― ― ― ―

学生時代、好きな子がいた。初恋なのかそうじゃないのかはわからない。入学してから1年半くらい片想いしていた。白いシャツとひざ下丈のスカートが似合う、キレイで大人しい子だった。その子は校庭でハーブやガーベラを育てていた。

正反対のオレ(ミニキス)じゃ手が届かないことは、わかっていた。

…オレは不真面目だった。

放課後はいつも数人の仲間と、空き教室で合流していた。掃除道具入れに隠した鉄パイプを持って、椅子を蹴り飛ばして、机の上に座った。

着崩した制服。カラーコンタクトレンズ。派手な色に染めた髪、強い整髪料の香り。似た雰囲気の仲間と手を組んで、青春を荒らしていた。

その頃のオレたちはケンカにハマっていた。俗にいうタイマン勝負だ。戦う理由なんてない、恨みがあるわけでもない。ゲーム感覚で強さを証明するのは気持ちがよかった。

もちろん、先生に見つかれば退学になる。社会的に罰せられる可能性もある。それでも先生に舌を出して、逆らうスリルを楽しんでいた。

その日の夜は校庭で、学校で2番目に強いと噂の先輩と決着をつける予定だった。…格下の相手だ。負けたらダサいが負ける気はしない。

何でもありの真剣勝負。鉄パイプでビビらせてやるつもりだった。先に寝っ転がって、泣いた方が負け。

…しかし先輩は、戦いの場に俺の好きな子を連れてきた。

髪をひっぱられ、無理やり連れてこられたその子をみて、オレの怒りは頂点に達した。

先生に見つかる?社会のはみ出しものになる?

関係ない。誰もこの怒りを止められない。先に一線を超えたのは、お前の方だ!

オレは怒りに任せて先輩に鉄パイプを振り下ろした。力の差は圧倒的で、一方的な暴力だった。

最終的に仲間に羽交い締めにされて止められた。

正しいことをしている気持ちだった。だけど…

顔を上げると、好きな子が泣いていた。

大ケガをおった先輩を心配して泣いていた。

オレを怖がって泣いていた。

…その様子を見て目が覚めた。

言葉にできないくらい後悔した。

今回のことだけじゃなく、今までの行い全てを後悔した。

暴力なんていけなかった。

当たり前だ。

オレはいつから自分のことしか考えられなくなったのだろう。

オレはいつから優しさと感謝を忘れてしまったのだろう。

家族、友だち、先生…いつから見下していたのだろう。

先輩は病院送りになって、オレは退学になった。

反省した。

変わらないとだめだ。

やり直さないとだめだ。

オレらしいオレを取り戻さないとダメなんだ。

遠いところまで探しに行きたくて、オレは1人で都会に飛び出した。

ある日、駅のホームで先輩と再会した。先輩は派手な色のスーツを着ていて、大人っぽくはなっていたものの、あの頃と変わっていなかった。先輩の隣には、きれいなあの子がいた。

先輩は、丸くなった地味なオレをみて、言葉にはしないものの驚いていた。

別の日に3人で飲みに行って、今までのことやこれからのこと、好きなゲームの話をした。

仕事をし、友だちができ、家族とも連絡をとって…やっとなりたい自分を見つけられたんだ。

タコパチやフィカキスを見ても、気持ちは変わらない。全てが無意味だったとは思わない。

失ったもの、散ってしまった花びらを取り戻すために、オレは宇宙に立ち向かうことにしたんだ。

前だけを見ていたいと思っている。

例え不可能だと言われても、オレたちには優しい勇気があるから、どんな夢も

いつかきっと叶えられる。

― ― ― ― ―

イカパチ(マシロ)「楽しみだなぁ、た・の・し・み!僕、命乞いしてる人を見るのが好きなんだ♪

じゃ、バイバ〜イ☆

イカパチが床を蹴って走り出す…そして、目にも留まらぬ速さで、オレ(ミニキス)の胸ぐらを掴んだ。戦い慣れた動き。身を引く間もなかった。

イカパチはためらうことなく、拳に体重をのせてオレの顔のど真ん中を殴った。

気がつくとオレは天井を眺めていた。

フィカキスが何か言っている…が聞こえない。鼻と口から湧き出ている血でむせて、苦しくて、それどころじゃない。

イカパチはオレの腹を、全力で踏みつけた。

もう一度蹴られて、向かいの壁に体ごと吹っ飛んだ。ぶつかった家具をひっくり返しながら叩きつけられ、力なく倒れた。

― ― ― ― ―

イカパチ(マシロ)「お〜しまい☆しんじゃったね」

イカパチは壊れたメガネを拾い、指先で遊びながらフィカキスの元へと歩いていった。

イカパチ(マシロ)「ねぇねぇフィカキス君、檻から出られた?…作戦は失敗したみたいだね、体の半分も出られてないし、お兄ちゃんは寝てるし。僕を相手に時間を稼ごうだなんて、100年早いんだよ」

フィカキス「いやや、ミニキス、…しんでないやんな?ミニキス…タコパチも…返事してや!!」

イカパチ(マシロ)「フィカキス君とお兄ちゃんを帰すつもりはないよ。僕の恋と、夢のゲームを邪魔されたくないし。

ふふ…実はね。お兄ちゃん達を秘密の地下室に閉じ込めようと思って準備していたんだ。しぬまで、ずっと…。おいしいお菓子でもてなしてあげる♡」

その時

イカパチの背後に人影がゆらめいた。

強い力で背中を押されたイカパチは、バランスを崩して床に倒れた。ミニキスは負けたフリをして、様子を伺っていたのだ。そして、不意をついてイカパチを押さえ込んだ。

イカパチ(マシロ)「ばか、離せッ」

ミニキス「フィカキス、何サボってんねん、早くタコパチを起こすんや!」

フィカキスは慌てて体をねじって檻から出た。

タコパチの顔に勢いよく体当たりする…が、目を覚まさなかったので、口から墨をはいた。びしょ濡れになったタコパチは、ゆっくりと目を覚ました。

フィカキス「オレ、墨なんか出せたんや」

タコパチ「ふぁ〜…あれれ、僕いつのまにか眠ってた…なに!?なにが起きてるの!?大げんか!?」

取っ組み合って争う2人…大ケガをしているミニキスを見て、タコパチは目を見開いておどろいた。

ミニキスはイカパチから銃を奪い、遠くに投げ捨てた。

イカパチ「も〜、さいあく」

イカパチはミニキスを振り払い、シワとホコリがついた服を払った。

ミニキス「タコパチ、話は後や、今すぐ変身して逃げ… 足音がする、…誰かおるん!?」

バン!!…発砲音が響いた。

誰かがイカパチの銃を拾って、ミニキスに向けて撃ったのだ。

ミニキスは落ちていたバットを掴んで、転がりながら投げた。投げたバットが銃弾を弾き返す。空中に火花が散った。

タコパチ「すごい…いや、驚いてる場合じゃない、ミニキス大丈夫!?」

ミニキス「大丈夫ちゃうわ!これ以上、喧嘩漫画の主人公のマネはやってられへん…この体は想像の3倍は丈夫にできてるけど、もう限界やねん」

タコパチはミニキスに駆け寄って体を支えた。

クロサキ「ふーん♪お前、結構強いんだな」

撃ったのは、買い物から帰ってきたクロサキだった。

クロサキ「マシロ、何してるんだ?こいつら何だ?頼まれてたイカの天ぷらは買ってきたぜ♪」

マシロ「帰ってきちゃったし、見られちゃった…。はぁ、計画が台無しだ」

ミニキス「君がイカパチさんの恋人か…?自分の兄を睡眠薬で眠らせて、閉じ込めようとして、いったい何を企んでるんや!」

イカパチ(マシロ)「それ以上しゃべらないで!

早く出てってよ…

早く、早く出ていけ!

もう知らない。

これまでの出来事も、これからの出来事も、全部君たちのせいなんだからね。

僕から何もかもを奪ったくせに…いつも誰かに手懐けられていて弱虫で、情けない姿ばっかり見せびらかしている。

そんな君が僕に、いったい何を見せるつもりだったの?

…なんだっていいよ

魔法には興味ないんだ

僕は恋とゲームだけに夢中なんだ

先に夢を叶えるのは、僕とクロサキ君だ

早くしんじゃえ

お兄ちゃんなんて大っ嫌いだ!!」

タコパチ「…そんな」

ミニキスはタコパチの手を強引に引いて、走り出した。タコパチの手はショックで震えていた。

ブレイブ☆タコキスに変身し、3人は夜空へ飛び立った。静かな夜、すすり泣く小さな声だけが聞こえる。

ブレイブ☆タコキスは自分のポケットに封筒が入っていることに気が付いた…イカパチが入れたのだろう。封筒には招待状と書かれていた。中は見ずにポケットにしまった。

真夜中の風は、アイスの様に冷たかった。

【5話に続く】

… … … …

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荒花ぬぬ

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