【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】8話

「信じて。宇宙を巻き込むデスゲームに立ち向かえ!」

小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲーム(アンノウンゲームマシロ・恋してタコキス~ほろぼされた星~・(プラネット同一体))がひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。

「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)

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星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~(不定期更新中☆)
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読み始める前に

異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)

【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】8話 本文

さくらとからす、ささめきは、飛び回り歩き回り、さくまを探していた。そしてついに、道路で倒れているさくまを見つけた。

ささめき「さ、さくまちゃん!大丈夫?」

ささめきが一番に駆け寄り、さくまの体を起こす。さくまは目を覚ました。街灯がチカチカと光り、ふたりを照らしている。

さくま「ぅう、我は大丈夫だ…疲れただけだ。」

さくら「何があったんだ!?」

からす「痛いところはないか?」

さくまは頭を抱えた…。記憶が曖昧になっている。一生懸命思い出して、整理していく。

さくま「痛みは無い。心配するな。本物の悪人と出会ったのだ。頭が悪そうな奴だった。そいつの名前は…」

さくら、からす、ささめきは身を乗り出してさくまの話を聞いている。

さくま「そうだ、クロサキだ!あいつのエターナルエターナル金属バットを食らったせいで、意識を失ってしまったのだ。しかも変な「かえる」を食わされて、うまく魔法を使えなくなってしまった。我の近くにいるさくら、からす、むむにも影響があるかもしれない。」

からす「魔法が使えなくなっちゃったのか…。でも、さくまちゃんが無事でよかった。」

からすはさくまの頭を撫でた。さくまは顔をしかめて、嫌そうにしている。

ささめき「本物の悪人…?ねぇ、さくまちゃん、本物ってどういうこと?」

さくま「それは!」

さくまはクロサキを見た瞬間、一歩も動けなくなるほどの底知れぬ恐怖を感じた。その理由を説明しなければ!

さくま「くそ…思い出せない」

記憶が曖昧なのは、クロサキに金属バットでボコボコにされたせいだ。さくまは自分に対してがっかりした。そんなさくまをささめきは励ました。

ささめき「大丈夫よ、さくまちゃん。気にする必要はないわ。魔法が使えなくても私たちは大丈夫よ。今まで星を守ってこられたのは、なぜだと思う?魔法のおかげだと思う?…違うわ。星を守りたいという強い心があったからよ。いくら強い魔法を扱えても、強い心がなければ、星は守れないわ。私たちにはそれがある。だから、魔法以外の武器を手に取ればいいだけ。」

ささめきに励まされて、さくまは目を輝かせた。ささめきは「自信、取り戻した?」と、さくまの頭を撫でた。憧れの人との突然の触れ合いに驚いて、さくまは「ぁ…」と小さな声を出して、モジモジしながら下を向いた。

さくら、からす、ささめき、さくまは立ち上がった。

クロサキとマシロに立ち向かうために。

ーーーー

…緑色の発明の星と青色の不死の星の中間地点…

マシロはデスゲームの舞台を設営していた。タコタコタコ星から連れてきたかえるたちがその手伝いをしている。マシロはクロサキの言葉を思い出していた。

(クロサキ「迷いそうな時は、俺を見ればいいんだ」)

(クロサキ「その悲しみ、俺に預けてくれよ」)

(クロサキ「イカパチでも、ふゆのでもねぇ、俺は今はマシロを愛してるから。

どんなことがあってもそばにいる。全てを捧げる覚悟はできてる。)

その言葉に助けられた。クロサキを愛している…でも、マシロにとってはクロサキも、使い捨ての武器のひとつに過ぎない。そう思わなければ、きっと、この勝負には勝てない。

その後タコパチの笑顔と言葉を思い出しそうになったが、頭を横に振ってなかったことにした。

マシロは迷っていた。タコパチの存在が心に引っかかっていた。しかし、もう後戻りはできない。マシロは多くの人の命を奪い、弄んできた悪人なのだ。

今さら…弟には戻れない。

だから、覚悟しなければ。

マシロはクロサキと勝ち抜きたいと、参加者全員をこの宇宙から消しても構わないと思っていた。そして、クロサキとふたりで、宇宙を股に掛ける本物の悪人になって、デスゲームに魂を売る…体と心が壊れるまで。ゲームを開催し続ける。それがいい、そうだ、それでいい。

マシロ(僕はもっと強くなりたいんだ。でも、強い魔法、強い道具、強い人間…そういうものを使って強くなりたいわけじゃない。

僕自身が、一番強くなりたいんだ。

僕は敗北者じゃない。誰にも負けない。

人生を独り占めして、勝ち続けたい。

そのためなら、家族も、故郷も

恋人も…使い捨ててやる。

もう、振り返らない。)

設営が終わろうとしたとき、背後から「イカパチ!」と呼ぶ声がした。振り返るとブレイブ☆タコキスがいた。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「見つけた!悪いことはやめるんだ、イカパチ!お兄ちゃんと一緒に、星へ帰ろう!」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「悪いことして、後悔するのは自分やで!」

フィカキスは肩に乗り、落ちないように捕まっている。ブレイブ☆タコキスはさくらに、イカパチを見つけたことをテレパシーで伝えた。

マシロ(イカパチ)「…あは☆何を言ってももう遅いよ。まだ自分の立場を理解してないんだね。どちらが敗者なのか、僕が教えてあげようか」

マシロは緑色のパンチグローブを取り出し、自分の手にはめて、ファイティングポーズをとった。

マシロ(イカパチ)「僕の運命を、暴力で決めてみようよ!魔法を使ってもいいよ、使えるならね。かかってきなよ、お兄ちゃん、ミニキス君。僕が負けたら、マシロという名前も、今追いかけている夢も全部諦めるからさ。だけど、もしも僕が勝っちゃったら…?、ふふふ、ふふふ。」

ブレイブ☆タコキスは覚悟を決めて、魔法のステッキを握り直した。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「…僕が勝つよ。イカパチは僕が助けてあげる」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「本気でやるで。フィカキスは離れとき」

フィカキス「ケガしたらあかんからな!」

ーーー

…青色の不死の星…

適当に着陸したことおとオキは、誰もいない青色の星を見てまわって楽しんでいた。

ことお「綺麗な景色、最高だなぁ☆破壊しがいがありそう。…あ〜壊したい壊したい!でも今暴れたら、マシロ達に見つかるだろうから、ダメだよなぁ」

破壊を愛する星の化身は、相変わらず破壊することで頭がいっぱいだ。ことおとオキは手を繋いで、趣のある庭園を歩いていた。

オキの肩にはくまが座っている。くまは嬉しそうにオキにしがみついていた

オキ「くまとも再会できてよかった。変なチップも取り除いてあげられたし、修理もできたし。お別れは寂しいもん。宇宙を破壊し尽くすまでは、三人一緒にいようね。約束。だって、僕たち三人を破壊していいのは、僕たち三人だけだから」

オキがそう呟くと、ことおは少し驚いた顔をした。ロボットのオキは人の心に鈍感で、冷淡な性格をしている。だから、約束なんて言葉を使うのは少し意外だった。

ことお「…うん、約束するよ」

自分らしくないと思いながらも、ことおは自然に頷いていた。少しだけ恥ずかしい気持ちになって、握る手のひらをぎゅっと握り直した。

庭園の池、ししおどしの音。そよ風、緑が擦れる音がする。自然に囲まれて、二人の心は少しだけ落ち着いていた。橋の上で立ち止まり、ことおはぽつり、ぽつりと話しはじめた。

ことお「…俺、宇宙の神みたいな奴と会おうとしてるじゃん。そいつと会うために、宇宙全部を破壊しようとしてるじゃん。その話、覚えてる?」

オキ「もちろん覚えてるよ。ことお君と僕がひとつになった日、話してたよね。

「宇宙全部を破壊したら、この宇宙を生み出した奴、宇宙の神みたいな奴が、別次元から顔を出すかもしれない。星の化身に力と魂を配分している存在が…どこかに、どこかにはずなんだ。…。そいつに会えたら、これをプレゼントしてやってほしい。面白いことが書いてある」って。

今も大切に持ってるよ。中身はお楽しみでしょ?見てないよ」

オキは小さなメモリーを取り出して、ことおに見せた。

ことお「ありがと。…実はさ、俺、妹を探してるんだ」

オキ「妹?星の化身に妹がいるなんて、珍しいね」

ことお「ああ、妹の「とおこ」は俺の片割れみたいな存在で、二人で一人の星の化身だったんだよ。とおこには未来を予知する力があった。とはいっても、明日の天気が分かるくらいだったし、つまんない予知しかできなかった。便利でも無敵でもなかったよ。

あの日、突然空に穴があいて、怪しい手が伸びてきた。俺は何も出来なかった。とおこはその手に掴まれて、空の向こうに攫われてしまった。誰も信じてくれなかったけど、俺は見たんだ、穴の向こうには、別次元が広がっていた。

俺はとおこを助けたい。助けたいけど…そんなこと無理だって諦めてる自分もいる。

でも、ひとつだけ確かなことがあってさ。緑の星は滅んでないだろ?

緑の星の化身は俺ととおこ。どちらかがしんだら滅ぶんだよ。まだ滅んでないから…とおこは生きてるんだと思う。」

ことおの話を聞いたオキは、…突然、メモリーを投げて、池の中に捨てた。ことおとくまは、オキの行動の理由がわからず、困惑した。

オキ「ことお君、そんな風に考えていたなんて、がっかりだよ。

この宇宙を破壊し尽くして、神みたいな奴が顔を出した時に、その神に、メモリーに保存したメッセージを突きつけるだけでいいやって思ってたの?夢、小さいよ…つまらない。そんな小さな夢のためにこの宇宙を破壊するつもりだったのなら、僕はもう手を貸さない。

ねぇ、ことお君…考え直してみてよ。

この宇宙を破壊したあと、神みたいな奴を見つけたあと、何がしたい?

僕はことお君の妹、とおこを取り返した後、直接メッセージを伝えてやりたい。そして、その神みたいな奴を侵略して、破壊してやりたい。

僕たちの宇宙に理不尽に介入して、ことお君が守りたいと思っていた、たったひとつの存在を奪ったやつと戦いたい!ことお君と、とおこ、くまと、僕。四人で力を合わせてやりたい。

守るものがなくなったから、ことお君は、破壊の化身になったんでしょ…?その責任をとってもらおうよ。」

オキの言葉を聞いて、ことおの体はブルっと震えた。気付かされたのだ。自分は臆病だったと、逃げていたのだと。

ことお「オキ、あはは、はぁ、…ありがとう、目が覚めたよ。」

ことおはオキを抱きしめた。

ことお「これからもよろしく頼むよ。俺、オキとくまと一緒に戦いたい。

破壊して侵略して強くなるのは気持ちいい。でもそれは…多分、オキがいるから、この星があるから、生きているから、そう思えるんだと思う。気がついた、今の俺にも、守りたいものはあるんだな〜って。

だから、やられてばかりじゃいけないね♪マシロ達と遊んでる場合じゃないって、はは。

俺たちもそろそろ…本気、出しちゃう?」

オキ「うん、その方がいいよ。くまもそう言ってる」

ことおは、髪留めを外した。髪留めの中に魔法で収納していたコンピューターを取り出し、キーボードを叩き始める。

ことお「マシロとクロサキは宇宙を舞台にしたデスゲームを開催しようと企んでる。あいつらの筋力と体力と技術は、超ヤバいけど、気になるのは、どんなゲームをしようとしているのか、どんな風に星の化身を戦わせようとしているのかってことさ。

それを推測することが出来れば、優位になれる。ゲームを破壊してもいいし、あえてゲームを開催させて、ひとり勝ちして、青色の星とタコタコタコ星をいただくって選択肢もアリ♪」

オキ「手がかりは、この金色の腕輪かな?僕たちの腕にいつのまにか付けられていたこれ…外せないし、多分、負けたら爆発するデスゲーム特有のアイテムだよ。このアイテムを分析して、仕組みを理解できれば、先手をうてるんじゃない?」

ことおは腕輪をコンピューターのセンサーにかざした。分析中…分析中… 50%…70%…90%…

ことお「よし、分析できた!この腕輪の正体は… …」

ーーーー

ブレイブ☆タコキスは杖を構えて、炎魔法を放出した。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「タコパチ☆ファイヤー!!

炎の渦がマシロを包み込むが、マシロは防火性のマントをひるがえし、それをかわす。マシロはニヤリと笑い、マントの内側からライターと特別性のスプレー缶を取り出した。手作りの火炎放射マシーンだ。それは、タコパチの炎魔法にも負けないような、想像以上の炎を放出した。ブレイブ☆タコキスはバリアを張り、炎をやりすごした。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「タコパチ、魔法でイカパチさんの動きをとめるんや!」

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「足を固定しちゃおう」

ブレイブ☆タコキスは、魔法をかけて、柔らかい鎖でマシロの足を結んだ。マシロは地面に転び、動けなくなった。すぐに両手も固定する。

マシロ(イカパチ)「こんなのずるい〜!!」

マシロは楽しそうに舌をだした。グイグイ引っ張って、手と足に力を込めて、魔法の鎖を引きちぎろうとしている。

マシロ(イカパチ)「毎日鍛えてるから、余裕だもんね」

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「タコパチ、もっと頑丈にするんや!ぐるぐる巻きにするんや!」

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)「わかってる…でも、なぜか魔力が不安定で…上手く魔法が使えないんだ!!」

ブレイブ☆タコキスの周辺に、白と緑のかえるがヨチヨチ歩いて集まっている。近くにいる者の魔法を不安定にするという特性が、ブレイブ☆タコキスから魔法という武器を奪っていく。

マシロは足を固定していた魔法の鎖を、筋力で引きちぎった。立ち上がり、手を固定していた魔法の鎖を噛みちぎった。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「噛み千切ったん!?凶暴な奴やなぁ。…よし、タコパチ、変身が解けへんようにして、粘り強く戦うで。オレがボコボコにしたる!」

ブレイブ☆タコキスは腕まくりして、マシロに挑んだ。ブレイブ☆タコキスとマシロは、それぞれの拳を、リズミカルに、巧みなステップでかわしていく。

ブレイブ☆タコキスはタイミングを見計らい、渾身の力を振り絞って、拳を突き出した。パンチが当たる瞬間に、肩、肘、手首を内側に捻りこませ、攻撃力を高める。

マシロはその攻撃を見極めて、外側からカウンターパンチを繰り出した。二人の腕が、勢いよく交差し、汗が弾けた。

ブレイブ☆タコキスは身を引いて、マシロの下半身のだいじなところを蹴った。マシロが地面にうずくまる。

ブレイブ☆タコキス(ミニキス)「あ、ごめん」

マシロ(イカパチ)「も〜!男の子の急所は狙っちゃダメ!僕、怒ったもんね」

マシロは前蹴りでブレイブ☆タコキスを牽制した。その後くるりと回転させるように、背中を見せて地面に両手をついた…遠心力を使って、片足を大きく動かし…破壊力抜群のキックが繰り出された。

マシロのトリッキーなキックを受けて、ブレイブ☆タコキスは吹っ飛び、地面に叩きつけられた。骨が折れそうになって…ブレイブ☆タコキスは上手く立ち上がれない。ゆっくりと、マシロが近づいてくる。

フィカキスが飛び出して、立ちはだかった。

フィカキス「それ以上攻撃せんといて!ほら、もう、勝ち負け決まってるやん!オレらの負けや、一旦諦めるから…!」

マシロ(イカパチ)「え〜?逃げるつもり?そういえば、言ってなかったね。僕が負けたら、マシロという名前も、今追いかけている夢も全部諦めるって言ったけど、僕が勝ったら何をするか…」

マシロは闇を帯びた笑顔を浮かべてた。

マシロ(イカパチ)「殺す」

フィカキス「え?」

マシロ(イカパチ)はマントの内側から、お気に入りの拳銃を取り出し、それをフィカキスに向けて、躊躇いなく引き金を引いた。

ブレイブ☆タコキス「フィカキス!!!…ぁ

銃声…、銃弾が直撃し、フィカキスは吹っ飛んだ。

チャキ…

そして、今度は自分が

銃を向けられた

殺意を向けられている

次に命を奪われるのは自分だ。

恐ろしい気持ちになって、思わず目を逸らし、地面を見た。ボロボロの、自分の手が見えた。ブレイブ☆タコキスの金色の腕輪が、月光に照らされてキラキラと輝いていた。このままだとやられてしま---…

ことお「やめろーー!!!」

ブレイブ☆タコキスとマシロの間に、ことおとオキ、くまが割り込んだ。

ことお「良かった、間に合った…戦うの禁止!その腕輪をつけた状態で戦うのはマジでやばい、絶対やばい、ダメダメ、とんでもないことになる所だったんだって!」

オキはブレイブ☆タコキスに手を貸し、無理やり立たせた。ブレイブ☆タコキスは体をかばいながら、フィカキスの元へと駆け寄った。

ブレイブ☆タコキス(タコパチ)(ミニキス)「フィカキス!!」

フィカキス「オレは大丈夫。体柔らかいし弾力性あるから、銃弾跳ね返せた。走馬灯は見たけどな!」

声を震わせて笑うフィカキスを、ブレイブ☆タコキスはぎゅっと抱き締めた。力が抜けて、二人の変身は解けた。タコパチに強く抱きしめられてフィカキスは、痛い痛いと突っ込んでいる。

ミニキスは立ち上がった。マシロを鋭く睨みつけてから、ことおに礼を伝えた。

ミニキス「君があの、緑色の星の化身か?助けてくれてありがとう」

ことお「そうさ、名前はことお…いや、自己紹介してる場合じゃないんだって!

マシロから聞いてたよ、ミニキスとタコパチだっけ?君たちはマシロからできるだけ離れて!あいつつらはヤバい、マジで!分析してわかったんだ、ありえないくらい危険な物を持ってるんだ。

オキはさくらたちを探すんだ、早く。多分今頃、クロサキと戦ってると思う、あいつらも巻き込まれたらヤバいってヤバイヤバイヤバい!」

マシロは焦ることおとミニキス達を見て、ニヤニヤしている。そこに、クロサキがやってきた。

クロサキ「ただいま、マシロ!…ことお、その心配はいらないぜ、もう終わったからな☆ほら、見ろよ。俺の勝ち〜!」

クロサキはさくら、からす、ささめき、さくま、むむ…五人の体をひとまとめにロープでぐるぐる巻きにして、無理やり歩かせて引っ張っている。五人の腕には、金色の腕輪が付けられている。

ことお「バカ!からす、何やってんだ!?なんで負けたんだよ!あんたのお得意の特別な力はどうした?」

からす「えっと、い、いい今のわたしはなんの力も使えないんだ…、そもそも、勝てっこない!この人は突然現れたと思ったら、猛毒を撒き散らしはじめたんだ。全員意識を失って、気がついたらロープでぐるぐる巻き…この状態にされていた。」

ささめき「クロサキ、この腕輪はなに!?説明しなさい!」

さくら「毒マジうぜぇ、ゲロがとまんね〜」ゲロロロ

さくま「さくらとの距離が近いのが辛い、ささめきの隣にしてほしい、こいつだけは生理的に無理なんだ」

さくら「泣けてきた…」

むむは何も言わずに、深刻な顔をしている。むむは気が付いていた。ことおが焦っている理由もわかっていた。しかし、信じられない。信じたくない。恐ろしいことが起きてしまう…その予感に、体が震えて踏み出せない。

…むむは、元々は、橙(だいだい)の星からやってきた侵略者だった。たまたま青色の星に落っこちた、特別な力を秘めた宝石「時間の宝石」を手に入れて、自分の星に持ち帰ることが目的だった。

時間の宝石は、黄色の星の化身(黄色の世界の星)だけが作ることができる、幻の宝石だった。その星は消滅し、今は存在しない。遺された三つの宝石を、様々な星の化身が探していた。

むむが生まれた星の化身(橙の星の化身)は、時間の宝石の研究者で、この宇宙の誰よりもそれを欲しがっていた。

しかし橙の星はオキにほろぼされてしまった。三つあった時間の宝石も、全て消費され、宇宙から消えた。

最終的にむむは、腐れ縁の友人であったさくらの星に住むことに決めたのだ。

…時間の宝石…

身につけている者が命の危険を感じた時に、時間を操って、時間をとめたり過去と未来を行き来することができる、といわれている宝石。

しかし、時間は正しく進んで流れていくもので、それが宇宙の決まりごとだ。どの星の化身にも、宇宙そのものを操る力はない。時間に干渉するのは、不可能なことだ。

時間の宝石の実際の仕組みは「自分だけの新しい宇宙を作りだす力」を持つ石だ。

でも作り出された宇宙はあくまで「正しい時間が流れている真実の世界」の偽物(コピー)。

本物の宇宙はひとつだけ。魂はひとつだけ。同じ人間なんていない。全てが偽物だからこそ、都合良く時間を操ったり、好きにできる仕組なのだ。

その石は一度使うとその力からは逃れられなくなる。命の危険を感じるたびに新しい偽物の世界を作り出す…だから、死ぬこともできない、二度と帰ってこられない。

永遠の孤独を彷徨うことになるのだ。

時間の宝石はこの宇宙が生み出した、絶望だ。

しかも…その宝石を星の化身が使うと、「永遠に滅亡しない自分の星で、自由になれる」効果が発揮されるとも言われている。もちろん実際の星は、星の化身が異世界に行ってしまった時点で消滅するが、「星の化身という使命から逃れられる」という誘惑は、どんな武器よりも強く、特別だ。

時間の宝石は簡単に、星をほろぼす武器でもあるのだ。

ーーーー

マシロとクロサキは、宇宙を巻き込むデスゲームの舞台と参加者を集めることに成功した。

青色の不死の星のからす、さくら、ささめき、さくま、むむ

緑色の発明の星のことお、オキ、くま

タコタコタコ星のタコパチ、ミニキス、フィカキス、 そして…。

突然強い風が吹き、皆の前に、赤色のUFOの形をした一人乗りの宇宙船が着陸した。宇宙船のハシゴから、降りてきたのは…誰も見たことがない、背の高い男性だった。

男性はレッドデビル☆カンパニーの制服を着ている。足首辺りまで伸びる長い髪は、タコ足のような形をしていて、うねうねと動いている。

?「みなさま、お疲れ様です」

ミニキス「タコパチ、あの人知ってる?アレ、レッドデビル☆カンパニーの服やろ?」

タコパチ「知らないなぁ。偉い人なのかなぁ。名前聞けばわかるかも」

?「…僕の名前は「タコダイオウ」ですよ」

タコパチ「あ、名前だけ知ってる。常務取締役の人だ」

ミニキス「会社の偉い人の名前覚えてるんや、真面目やなぁ」

タコダイオウの腕にも、金色の腕輪がはめられている。表情を変えることなく、すました顔をしている彼は、淡々と業務連絡をする。

タコダイオウ「社長、遅くなりましてすみません。レッドデビル☆カンパニーの方々は全員、タコタコタコ星へ帰還させましたので、ええ」

マシロ「ありがとう」

ミニキス「なぁ、イカパチ!!そいつ、誰やねん!?」

ことお「デスゲームの参加者なのかい!?」

からす「突然知らない人が来て、怖いぞ…ブルブル」

さくら「タコダイオウって、変わった名前だなぁ」

タコダイオウ「…社長以外の方はご存知ないと思いますが、僕がタコタコタコ星の化身ですよ。僕は特性上、少しだけ、母星から離れられるんです。

レッドデビル☆カンパニーには秘密がたくさんありますが、僕の存在もその一つです。デスゲームへの参加も、大切な業務です。他の業務を遂行しながら、デスゲームへの参加を楽しみにしておりました」

ミニキス「えー!?」

タコパチ「うそー!?」

全員驚いている。

クロサキ「俺もビビったぜ、こいつが?って感じ。でも、本物だ」

ことお「マシロは自分が生まれた星…タコタコタコ星も、しっかりデスゲームに参加させるつもりってことかよ〜!今更初対面の人出してくるなよ〜。はぁ、こんな腕輪つけられて、戦わせるなんて、最悪すぎる〜!もうおしまいだ〜〜」

むむ「み、み、皆!冷静になって!」

勇気をだして、むむが大きな声を出した。

むむ「橙色の星出身のあたしは詳しいからわかるの。この腕輪は、間違いない…

時間の宝石だよ」

タコパチ「何それ?」

むむ「命の危険を感じると、偽物の宇宙に飛ばされて、永遠の孤独を味わうことになる…悲しい宝石なんだよ!だから、今は絶対戦っちゃダメなんだ!攻撃されて、しんじゃうって思ったら、終わりだよ!心を強く持って」

ささめき「時間の宝石…!?それはもう、この宇宙には存在しないはずでしょ!?どうやって手に入れたっていうの!?」

さくら「時間の宝石は、あいつと、門番と、ゆずは先輩が使って、使い切っただろ!」

むむは、それはわからない…と唇を噛み締めた。どうやって入手したのかなんて、想像もできない。恐怖の中、思い出の中にいるとある男性を思い浮かべていた。

マシロ「準備できたね♪」

マシロが手元のボタンを押すと、デスゲーム会場がライトアップされた。

高い舞台、巨大なディスプレイ。緑色と白色の装飾と、イルミネーションが輝いている。かえるたちが踊っている。

マシロとクロサキは舞台にあがり、マイクを手に取った。

…緑色の幕が上がる。

派手なミュージックが、スピーカーを振動させる。紙吹雪が舞い散る。

マシロ「みんな!こんばんは。僕の名前は、マシロ☆」∴‥☆∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

クロサキ「俺は恋人のクロサキだ。デスゲーム一筋の、王子様だぜ☆」∴‥∵‥∴☆‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

マシロ「みんなにはこれから、僕が考えたゲームに参加してもらいま〜す!ゲームに使うのは皆の命と、星、そして運命!∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥☆∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

ゲームの様子は、それぞれの星で生中継してるよ!青色の不死の星の民のみんなは、避難先の新しい世界で、この映像を観てもらってるからね。緑色の正義の星の民は最初からいないので、配信してませーん。∴‥∵‥∴‥☆∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

皆、自分の星がほろびるかもしれない恐怖に怯えているかな?…可哀想に。でも、大丈夫♪みんな可愛いよ。

今回のデスゲームの開催は僕たちの夢だったんだ。いつも以上に本気だよ!ドキドキワクワクがいっぱいの、特別な思い出になると思う!∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

さぁ、星の化身とその仲間たちの、生死を、星を、運命をかけた宇宙規模のデスゲームのはじまりはじまり☆」

クロサキ「じゃ、ルールを説明してくれ!マシロ!」∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥∵‥∴‥∵‥∴‥∴‥

マシロ「ルールは簡単♪ 

【9話に続く】

… … … …

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荒花ぬぬ

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