【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】9話

「信じて。宇宙を巻き込むデスゲームに立ち向かえ!」

小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲーム(アンノウンゲームマシロ・恋してタコキス~ほろぼされた星~・(プラネット同一体))がひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。

「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)

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星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~(不定期更新中☆)
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読み始める前に

異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)

【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】9話 本文

短時間で組み立てたとは思えない、個性的で立派な舞台。その上に立ったマシロとクロサキは、マイクを握り、楽しそうに話しはじめた。

眩しい照明。舞い散る白と緑の紙吹雪。バックには大きなモニターが設置されており、デスゲームの様子が映しだされている。鳴り響くミュージック。賑やかな雰囲気とは裏腹に、さくらやタコパチ達は怯えており、かたい表情を浮かべていた。

参加者・からす、さくら、ささめき、さくま、むむ

ことお、オキ

タコダイオウ、タコパチ、ミニキス

…の腕には、金色の腕輪が輝いている。

マシロ(イカパチ)「ルールは簡単。信じ合うだけ♪

ひとり一枚、カードと封筒を配るよ。カードは手のひらサイズの画用紙だよ。封筒にはみんなの名前がかいてある。僕からのプレゼントだよ♡

カードに、「いちばん大切にしているもの」をひとつ書いてね。

適当なことをかいてもいいけど、星や仲間を守りたいなら、真面目に考えてかいたほうがいいかもね。

カードは封筒にいれて、蓋をしめてシールでとめてね。ふふ…絶対開けちゃダメだからね!シールにはセンサーがついているから、開けたらバレるよ。絶対ダメだからね!

自分以外の人の「いちばん大切にしているもの(カードにかいたもの)」を言い当てた人が勝ち☆。クリアした人は、このゲームから抜けられるよ。

僕とクロサキ君以外の全員がクリアして、罰ゲームを受けずにゲームから抜けられたら、みんなの完全勝利!その場合、僕とクロサキ君は、しにま〜す☆

よぉし、言い当てるぞ!という気持ちになったら、舞台の上にいる僕かクロサキ君のところにきてね。

舞台にあがれるのはひとり一回だけ。答えるチャンスは一回だけ。舞台にあがれるのは五分間だけ。

例えば…さくら君がからす君の大切なものを言い当てたとする。そしたら、さくら君はクリア。からす君も、誰かの答えを言い当てられたらクリアできるよ。

言い当てられた答えは、使用済扱いになるよ。使用済み扱いの答えを言い当てても意味ないから気をつけてね。

封筒を開けるのは禁止だけど、何を書いたか言葉で伝えるのはおっけーだよ。つまり、信頼している人と封筒の中身を教え合って、それを僕に伝えに来たら良いだけ。簡単だね。

シールについているセンサーを通じて、僕はクロサキ君以外の人の封筒の中を…答えを把握しているよ。クロサキ君は僕以外の人の答えを知ってるよ。

ルール違反しちゃったり、僕かクロサキ君に、間違えた答えを言っちゃった人は…罰ゲームだよ!

制限時間は5時間。5時間後クリアできてない人も、罰ゲームだよ。

暴力賛成だから、邪魔なやつがいたら、戦ってボコボコにしてもおっけー!ボコボコにされて負けたやつも罰ゲームね!」

クロサキ「主催者の俺とマシロも、特別枠で参加するぜ。俺とマシロはお互いの封筒の中身だけは知らない…。だから、それを当て合うルール。もちろん失敗したら罰ゲームをうける。公平、公平♪スリル満点で楽し〜♪」

マシロ(イカパチ)「ああもう、クロサキ君、興奮しすぎ♡頬が赤くなってるよ。セクシィな表情は、僕以外の人に見せないで。嫉妬しちゃう」

クロサキ「マシロ、可愛い。嫉妬されるのも悪くねぇなって思っちまうよ。俺って罪深い男。(ちゅ♡)」

クロサキはニヤケながら、マントの内側から、新しい金色の腕輪をふたつ取り出した。ひとつを自分の腕につけて、もうひとつをマシロの腕につけた。

マシロ(イカパチ)「王子様にアクセサリーをつけてもらえるなんて、ロマンチック♡♡」はあはあ

クロサキ「こ、こんなところで、い…意識するんじゃねぇよ…///俺まで恥ずかしくなって、ホワイトチョコレートみたいに、とろっとろに溶けちまうだろ♡」

マシロとクロサキは舞台の上でイチャイチャしている。イチャイチャを楽しんだ後、続きを話しはじめた。

マシロ(イカパチ)「宇宙を舞台にした大規模なゲームだからね…死よりも残酷な罰ゲームを用意したよ☆

こちらをご覧くださ〜い☆(カーテンを開ける)

僕が作った、「首ちょっきん台」だよ!名前の通り、首をちょっきんするための大型の機械だよ。見ての通り、立った状態で手足を固定されて、何メートルもある大きな刃が振り下ろされて、ちょっきんする仕組み。

罰ゲームする人は、首ちょっきん台を使った死のショーに参加してもらう。照明、大道具、演出にこだわった、最高のショーを用意してるよ。

ショーの時に流れる音楽は、僕が作詞作曲したんだ!歌も僕が歌ってるよ!スタジオで録ってもらって、クロサキ君にmixしてもらったんだ〜♪音圧感じられる、ノれる曲に仕上がってるよ。

参加者全員に一曲づつ用意してるから、聴いてみたい人は罰ゲームを受けてみてね☆

さらに!

みんなにプレゼントした腕輪には、特別な宝石を埋め込んであるよ。

それは…みんなが時間の宝石とよんでいる、特別な星の力で作られた宝石だ!

その宝石の力で、首がちょっきんされた後、最悪のパラレルワールド(別宇宙)に飛ばされちゃうんだ!

もちろんひとりぼっちでね。しんでもしんでも逃げられない、ループ世界で、永遠に苦しみ続けるんだ…♡」

クロサキ「星の化身が罰ゲームすることになっちまったら、ヤバいことになるぜ?星全体が星のはなびらになって散ることになる。責任重大だよな。

死よりも残酷な罰ゲーム、早く見てみたいぜ〜☆」

マシロ(イカパチ)「ルール説明おわり。わかった?

ふふ、お兄ちゃん…、これが本当の僕だよ。

このゲームを開催するのが夢だった。僕はクロサキ君と夢を叶えたんだ。

魔法がなくても、僕は僕。

可愛くて恐ろしい、悪人なんだよ。

こんな僕のこと、まだ助けたいと思う?

……じゃあ、楽しもう☆質問がある人はどーぞ!」

タコパチ「こ。こんなのいやだ。だめだよ…イカパチ、だめだよ!どうしよう、どうしよう」

泣き出してしまったタコパチの手を、ミニキスがぎゅっと掴み、顔をあげさせた。

ミニキス「大丈夫や。落ち着こう…大丈夫」

タコパチはしゃっくりをあげながら、「大丈夫だよね」と、つぶやいた。そして、フィカキスをぬいぐるみのように、ぎゅっと抱きしめた。

ささめきが、挙手して、話しはじめた。

ささめき「ねぇ、マシロ。あなた、何のためにこのゲームを開催したの?

魔法を使えないあなたが、どうやって、時間の宝石を手に入れたのか…想像もつかないけれど。あなたのそれは努力でも実力でもないわよ。無茶苦茶なだけだもの。あなたの行動力には正当な目的がないわ。

宇宙規模のデスゲームを開催するのが夢だから頑張った?他人や兄の運命を弄ぶのが楽しいから頑張った?まるで子どもの反抗期みたいね。」

ささめきに正論で攻撃されて、マシロは不機嫌そうに頬を膨らませた。その後わざとらしくチロっと舌をだして、ぶりっ子して言った。

マシロ(イカパチ)「オバサンうざ〜い☆」

ささめき「……え?オバサン!?やだ、はじめて言われた…あんた最悪!!」

怒りで顔を真っ赤にして、舞台の上にあがろうとするささめきを、むむとさくまが引き止める。

さくま「落ち着け、ささめき!あんなやつ、相手にするな。自分自信のおマヌケさにも、ささめきの美しさにも気が付けない、残念な悪人なんだ」

むむ「大丈夫、おばさんじゃない、絶対!ささめきちゃんはかわいいお姉さんだよ!?」

ふたりになだめられ、ささめきは落ち着きを取り戻した。「安い挑発に乗るなんて、私らしくなかったわね…でも、あいつ、ありえないわ」と悔しそうにしている。

クロサキ「ささめき、戦わねぇのか?別にいいけど。

ゲーム主催者への暴力はルール違反じゃねぇから、安心してくれ。ボコボコにされて負けたやつは罰ゲームをすることになるけどな〜☆」

ささめき「ふん…」

そのとき、誰かの唸り声が聞こえた。みんなが声が聞こえる方向を見る。ことおが、必死に、金色の腕輪を引っ張って壊そうとしていた。

ミニキスとフィカキスが慌てて止めた。

ミニキス「やめとけって!デスゲームのマンガ読んだことないんか!?デスゲーム特有のアイテムを壊そうとした奴が、見せしめに×されてしまうのは、お決まりの展開やろ!?」

フィカキス「そうやで、やめとき!」

むむも困り顔で話す。

むむ「時間の宝石は誤作動することもあるから、わざと傷をつけたり、壊そうとするのはやめた方がいいと思うよ」

皆に怒られて、ことおはしょぼくれている。そんなことおを励ますために、オキが目をキラキラさせながら提案した。

オキ「いいこと思いついた。腕輪を攻撃するのがダメなら、腕そのものを破壊すればいいんじゃない?」

ことお「さっすがオキ!いいアイデアだ☆早速…♪」

早まろうとする破壊の化身を、からすが羽交い締めにして、食い止めた。くまはオロオロしている。

からす「こら〜自分の体を大切にしなさい!ほら、今はかえるさんたちがいる影響で、タコパチ君たちも、回復魔法を扱うのが難しい状況だろう?わたしもさくまちゃんも力を使えないし、回復できなかったら、大変だ!」

ことお「そうかい…はぁ。つまんないなぁ。じゃあ、どうするんだい?真面目に参加するつもりなのかい?こんなのクソゲーだよ」

さくらは、ルールを聞いて不安そうにしているみんなを眺めていた。さくらは自信に満ちた態度をしており、なんだか余裕そうだ。そんなさくらの様子を見て、タコダイオウは困惑していた。

タコダイオウ「さくらさんは、ゲームが恐ろしくないのですか?変わっていますね…。大規模で危険な仕事を、色々と経験してきた僕でさえ、手先が震えているのに。社長とクロサキさんは、タコタコタコ星の誰よりも仕事ができる、優秀な人間ですよ」

さくら「え?怖くねぇけど?ていうか、なんでみんな焦ってんだ?俺はルールを聞いて、安心したぜ。皆で答えを教えあって、それを書きあえばいいだけだろ?難しくねぇじゃん。俺たちが嘘をつくメリットもないし。

マシロとクロサキは危険人物だけど、あの二人は俺たちと直接戦うわけじゃねぇから、安心じゃん。」

からす「そ、そうだな。さくら君の言う通りだ。信じあえばいいというシンプルなルールだ。嘘をつくメリットは…ないよな」

ささめき「さくら、もっと考えなさいよ。ことおとオキはお互いの答えを言い当てればいいけど、私たち青色の不死の星の仲間は五人なのよ。答えを教え合うと、ひとり余るのよ。誰かひとりが、タコタコタコ星のメンバーを信じないといけないの。わかる?」

さくら「ミニキスもタコパチも、もう仲間じゃん。タコダイオウも、多分悪いやつじゃねぇって。みんなで協力して、乗り越えようぜ!」

マシロ「……みんな、準備はいい?カードと封筒、シール、油性ペンを配るよ☆カードにいちばん大切にしているものを書いてね。書いてる間は喋るの禁止。僕の言う通りにしてよね。」

クロサキ「わくわくするぜ!自分を信じる、相手を信じる、そして本心を見透かす…これは真剣勝負なんだ☆でもマシロは特別だからな…簡単に言い当てられちまう気がするぜ!」カキカキ

マシロ「クロサキ君、喋っちゃだめだよ」

クロサキ「あ、ごめん☆」

書き終わり、封筒を閉じてシールを貼る。皆の封筒は、舞台の上のクリアケースの中に集められた。舞台の上で言い当てる際に、中を確認する予定らしい。

ーーー 

ついに…宇宙を巻き込むデスゲームがはじまった。

ーーー 

マシロ・クロサキ「アンノウンマシロ☆ゲームスタート!」

マシロとクロサキが開始の合図を言い終えた瞬間、ことおとオキが走り出し、舞台の上によじ登りはじめた。

ことお「こんなゲーム、早く抜けちまおう!オキと一緒にね。」

オキ「僕とことお君の心はひとつだから、話し合う必要なんてないんだ。お互いのいちばん大切にしているものなんて、何も言わなくても当てられる。」

くまは(話し合ってから答えた方が、絶対良いと思うよ!?)と焦っているが、もう遅い。ふたりは舞台にあがってしまった。

マシロ「相談無しで答えるつもり!?あは、スリル満点だね、最高☆じゃあ、ひとりづつ答えてみてよ!

本当に君たちの心がひとつなのか、それともただの勘違いバカなのか、試してみよう♪」

舞台にあがったことおとオキは同士に発表した。

ことお「オキが、いちばん大切にしているものは〜、「破壊」!」

オキ「ことお君がいちばん大切にしているものは、「破壊」」

クロサキがクリアケースの中からことおとオキの封筒を取り出した。

クロサキ「封筒をあけて、正解を確認しよう!答えが間違っていたら、罰ゲーム。ことおとオキ、緑色の発明の星の運命は…?」

封筒をあけて、それぞれのカードをとりだす。

書かれていたのは

ことおのカード…「破壊」

オキ…「破壊」

マシロ「え〜すごい!息ぴったりだね☆おめでとう!ことお君とオキ君は、ゲームをクリアしました☆緑色の発明の星はほろびませ〜ん、良かったね」

クロサキ「ほろばないってよ、良かったな、おめでとー!…既に人住めないレベルで、ボロボロだけどな」

ことお「クロサキ!ひとこと多いって!ボロボロなのはマシロとクロサキが改造したせいだろッ」

オキ「違うよ、元からだよ」

ことお「た、確かに…。荒野にしたのは俺たちだった」

ゲームをクリアしたオキとことおは、普段と変わらない様子で、楽しそうにしている。

マシロ「じゃあふたりの金色の腕輪を外してあげよう!解放してあげる☆」

マシロは金色の腕輪を外すための特別な鍵、金色の鍵をとりだした。かえるのキーホルダーが取り付けられている。しかし、ことおは首を横にふった。

ことお「いや、今は外さないでくれ。後で外してほしい。この腕輪について、調べてみたいんだ。どうやって入手したのか気になるし…♪時間の宝石に対する好奇心が、恐怖を上回っちゃったんだよね」

マシロ「ふーん、構わないよ♪外して欲しくなったら、教えてね。いつでも外してあげるから。オキ君も外さなくていいの?」

オキ「うん。ことお君が外すときに、僕も外すよ」

オキは「ふふ。まだまだ油断できないね」と呟いて、くまの頭を撫でた。くまは(今すぐ外した方が絶対良いと思うよ!?)と焦っているが、ふたりには伝わらない。

クロサキ「残りの参加者もこの調子でがんばれよ!」

クロサキは小さなクラッカーをパンッと鳴らし、紙吹雪をふらせた。

ーーー

青色の不死の星のメンバーは集まって、作戦会議を行っていた。タコタコタコ星のメンバーも少し離れたところで話し合い、作戦会議を行っている。

こんなゲーム、参加したくない。そう誰もが思っていた。だが、マシロとクロサキは強敵だ。そして、時間の宝石は、永遠の孤独を生み出すといわれている、恐ろしい未知の道具だ。

逆らって戦うのは危険。だから今はゲームに参加してクリアし、身の安全を守ろう、隙が出来たときに立ち向かうことにしよう…そう、話し合った。

ささめき「私たちは五人だから、お互い答えを教えあってクリアできるのは四人だけ。残りのひとりは、タコタコタコ星の誰かの答えを当てないといけないわ。タコパチとミニキスは恋人の関係だから、お互いの答えを交換してクリアするでしょうね。つまり、タコダイオウの答えを当てないといけないことになる可能性が高い」

さくま「タコタコタコ星のメンバーの様子を見て、タコダイオウと話してみるか。…しかし、タコダイオウは星の化身だろう?。「タコタコタコ星」以外に何を書くのいうのだ?」

ささめき「タコダイオウはマシロの会社、レッドデビル☆カンパニーの重役なのよ。マシロとクロサキの仲間だから、ゲームを盛り上げるために、予想外なことを書いている可能性もあるでしょ」

さくま「なるほど。予想外な答えか。…しかし…これは我の憶測だが、タコダイオウは的外れな答えは書いていないと思う。誰にも想像できない言葉…例えば「バカ」とか「ゴミ箱」とか書いていても、ゲームは盛り上がらないだろう?テーマは「いちばん大切にしているもの」だ。それに添いつつ、予想外で面白い答えを用意しているのではないか?」

むむ「そうだったら怖いなぁ。でもタコダイオウがマシロとクロサキの仲間じゃなくて、あたしたちと同じ気持ちでデスゲームに参加している可能性もあるよね。正直に答えを教えてくれるかもしれないよ」

話し合う女の子達の会話を、からすはうんうんと頷きながら聞いている。星と仲間を守るために、皆、真剣に考えていた。

ささめき「まずは私たち四人が確実にクリアできるようにしましょう。その後タコタコタコ星チームと合流して、タコダイオウを攻略するわよ!」

さくら「ああ、そうしようぜ!星の化身のからすが、間違えちまったら、ヤベェことになるから、気を付けねぇとな。それで、お前ら何を書いたんだ?いちばん大切にしているもの。俺は「からす」って書いた」

さくま「我は「青色の不死の星」と書いた」

むむ「あ、同じだ!あたしも「青色の不死の星」って書いたよ」

さくら「おもしれ!息ぴったりじゃん。さくまとむむ、早速クリアして来いよ♪金色の腕輪は、直ぐに外してもらえよな」

さくま「そうだな。はぁ、我の力も元に戻してもらえるだろうか。ゲームが終わるまではお預けと言われるか?体の中に変なかえるがいるなんて、気分が悪い」

むむ「多分、さくまちゃんの記憶を読む力が強すぎるから、マシロ君たち、怖がってるんだよ。元に戻してもらえるといいけど…。」

さくまとむむは早速、ゲームをクリアするためにマシロとクロサキの所へと走っていった。さくらが俺達も一緒に行くと、声をかけたが、さくまがついてくるなと言って断った。

さくま「我らは大丈夫だ。それよりも、話し合って、どうするか決めるんだ。我らはすぐに戻る」

…残されたからす、さくら、ささめき。

ささめき「それで、からすさんは何をかいたの?いちばん大切にしているもの…選べないわよね。あなたは大切なものを背負いすぎてる」

からす「迷いはない。わたしのいちばん大切にしているものは「さくら君」だ。もちろん仲間のことも、青色の不死の星のことも愛しているし、守り続けるつもりだ。だが、わたしはさくら君と、書きたいと思った」

さくら「からす…てっきり、星とか宇宙とか、そういうのを書いたと思ってたぜ。」

さくらは照れている。

ささめき「私は…「今」って書いたわ。深い意味はないわよ。過去や未来も大切だと思ってる。それでも、いちばん好きなのは今。だから、そう書いたの。」

さくら「今?なんか、ささめきらしくてかっこいい答えだな」

ささめき「そう?ありがとう」

その時、マシロの声が聞こえてきた。巨大なモニターに、舞台の様子が映し出された。

マシロ「さくまちゃんとむむちゃんは、ゲームをクリアしました☆」

舞台の上のむむとさくまは、ほっとしている様子だ。

むむ「良かったね、さくまちゃん。ちょっとだけ安心した〜♪」

クロサキ「答えは青色の不死の星か〜。真面目でつまんねぇ答えだけど、俺は好きだぜ!金色の腕輪は外してやるよ」

さくま「早く外せ。クロサキ、我の力も返してもらおうか」

クロサキ「ゲームが終わったら返してやるよ、今は忙しいんだ」

さくま「ふん…そう言われるだろうと思っていた…はぁ」

ーーー

(疑う気持ちは一欠片もなかったが)さくまとむむがクリアしたというアナウンスを聞いて、ささめき、さくら、からすは、ほっとした様子だ。

ささめき「次はさくらとからすさんの番よ。この星は消させない…早くクリアしてきて」

さくら「は?大丈夫なのかよ。」

ささめき「は?って何よ。私、変なこと言った?…クリアせずに残るのは私よ。心配しないで。怖くなんてないし、心が燃えているの。タコダイオウと話して、本心を探ってやるわよ。

…知ってるでしょ?これは私の得意分野よ。それに、私ひとりの戦いじゃないわ。さくらもからすさんも、さくまちゃんもむむちゃんもいる。皆で戦うのよ。この星と仲間を守るために、頑張りましょう」

からす「ささめきちゃんは強いな…」

さくら「…」

その時、ミニキスとタコパチとタコダイオウがやってきた。ミニキスの肩にはフィカキスが座っている。

ミニキス「そっちは大丈夫か?さくまさんとむむさんはクリアできたみたいやな、安心したわ」

さくら「へへッ!ミニキス、タコパチ。俺たちは大丈夫だ。話し合いは終わったのか?」

ミニキス「終わったで。タコダイオウのことをよく知ろうと思って、色々話してたんや。タコダイオウ、出会ったばっかりやし、星の化身やし、レッドデビル☆カンパニーのお偉いさんやし、イカパチさんの仲間やしなぁ。正直…怪しいやん?

オレ、最初はタコパチとふたりでクリアしてしまおうって思ってたんやけど…そんなことしたら、タコダイオウが残るやろ。さくら達の誰かがタコダイオウの答えを当てなアカン流れになるやろ。

しかも…もしもタコダイオウが言い間違えたりしたら、タコタコタコ星が滅ぶんや。自分の星を守るためにも、オレとタコパチが責任持ちたいって思った。」

タコパチ「だから、ミニキスか僕のどちらかが、タコダイオウの答えを当てよう!信じよう!って話したの」

その会話を聞きながら、タイダイオウはとても寂しそうな顔をしていた。タコダイオウの瞳に涙がたまっていく…。

タコダイオウ「ぅう…すみません、ぅう…」

タコダイオウは泣き出してしまった。凛と振舞おうと頑張っていたが、ついに恐怖と責任と悲しみに押し潰されてしまったのだ。

ミニキス「!?泣くなや、どうしたんや!?」

タコダイオウ「信用されていない自覚はありましたが、流石に申し訳ない気持ちになってしまって…」

ミニキス「え!?ごめんな…」

タコパチ「タコダイオウ、ごめんね、大丈夫だよ(なでなで)」

ミニキス「そうやで、大丈夫や!皆優しいから、話せば分かってくれる!」

状況がわからない様子の、さくら、からす、ささめきに、フィカキスが説明しはじめた。

フィカキス「…タコダイオウは仕事好きで、まだ侵略とかしてなかった頃の、優しいレッドデビル☆カンパニーに入社して働いていたらしいんや。その時は星の化身の正体を隠してたらしい。

でも、マシロの気が変わって、星を侵略する会社に変わってしまった。タコダイオウは葛藤した。でも真面目やし仕事好きやから、やっぱり会社の業績をあげて出世したいって思った。

そして社長のマシロに自分が星の化身であることを打ち明けた。会社のために自分にできることをしたいって思ったんや。

タコダイオウはとにかく仕事が好きやねん。仕事に対して一途やねん。そういう奴やねん。」

さくら「そうなのか。タコダイオウ…一生懸命なのに、マシロにひどい扱いされてて、ちょっと可哀想だな。俺、パン屋さんでバイトしてるけど、仕事するって大変だっていつも思ってる。店長と仕事仲間が優しいから、何年も働けてるけど、もし店長が悪いやつだったらって思うと…怖いっていうか…すっげぇ辛い思いするんだろうなって思う。そういえば、お花屋さんで働いていた時の店長も優しかったなぁ。」

タコダイオウ「悪い仕事をしていると自覚しながらも、働き続けたいと思って、社長の言いなりになっていました。強い責任感と使命感が心に染み付いていて…意見を伝える勇気も、行動する勇気もなくて、ずっと苦しかった。僕は前向きな仕事を、楽しく頑張って、社会の役にたちたいだけなんです。でも、ミニキスさんとタコパチさんと話して、心が楽になりました。自分の考えや意思を取り戻せたような、そんな思いです。

…僕はカードに「仕事」と書きました。信じてもらえると嬉しいです」

みんなの優しい表情を見て、タコダイオウは泣き止み、安心した様子で微笑んだ。

さくら「なぁ、ミニキス。カードに何を書いたんだ?いちばん大切にしているもの、教えてくれよ!」

ミニキス「オレは…。「タコパチとフィカキス」って書いた。色々あったけど…、今、夢を追いかけて、楽しく過ごせてるのはふたりのおかげやから。ちょっと照れくさいけどな。」

フィカキス「オレの名前も書いてくれたん?嬉しいわ…」

さくら「俺は「からす」って書いた。十年以上一緒に過ごしてる、大切な恋人だからな。じゃあさ、俺とミニキスで答え交換し合って、クリアしようぜ。最初はぶつかりあったけど、仲良くなれて嬉しいからさ」

ささめき「…さ、さくら、大丈夫なの?」

さくら「ああ、大丈夫だぜ!ささめきはからすとクリアしてくれ」

ささめき「…そう。わかったわ、さくらがそうしたいなら、私がからすさんとクリアするわよ。からすさん、マシロとクロサキのところへ行きましょう」

からす「緊張するなぁ…。言い間違えちゃったらどうしよう」

ささめき「私が書いたのは「今」よ。言い間違えない、簡単な単語にしたでしょ!がんばって」

からす「がんばるぞぉ〜。さくら君、絶対戻ってくるから、信じて待っていてくれ!!!」

さくらとからすは手を振りあった。からすとささめきは舞台がある方向へと、走って行く。

ミニキス「……。なぁ、さくら。嫌やったら断ってくれていいんやけど…」

ミニキスが遠慮がちに、さくらに声をかけた。タコダイオウには聞こえないように、小さな声で話している。

さくら「なんだ?」

ミニキス「オレじゃなくて、タコパチと二人でクリアしてほしいんや。タコパチとフィカキスはタコダイオウを信じきってるけど、やっぱり…オレは…まだちょっとだけ疑ってる。でも、さくらのことは信じてるねん。

タコパチはオレのいちばん大切な存在や…、確実にクリアしてほしいし、オレの手で守りたいって思ってる。だから、オレがタコダイオウと組みたい」

さくら「わかった。ミニキスの気持ち、わかる。俺も同じ立場だったら、そうすると思う。

タコパチ、俺とふたりでクリアしようぜ。カードに何を書いたんだ?俺は「からす」」

タコパチ「ぼ、僕は「ミニキスとフィカキス」って書いたよ。大切なものは他にも沢山あるけどね」

フィカキスは嬉しそうに飛び跳ねた。

フィカキス「タコパチもオレの名前書いてくれたん?なんか、嬉しいわ…!」

さくらとタコパチ、ミニキスとタコダイオウは舞台へと向かった。

ーーー

舞台の上には、ささめきとからすがいた。からすは緊張して、泣きそうな顔をしている。さくまとむむが、少し離れたところから応援している。

ささめきとからすは、クロサキとマシロに答えを伝えた。

ささめき「からすさんのいちばん大切なものは、「さくら君」よ」

からす「い…い、今!今!」

マシロはふたりの封筒を取り出し、それぞれのカードをかかげた。ディスプレイに大きく映し出されたカード。

ささめきのカード…「今」

からすのカード…「さくら君」

からすとささめきはほっとした様子で笑いあった。

マシロ(イカパチ)「おめでとう!ささめきちゃんとからす君は、クリアしました☆青色の不死の星はほろびませ〜ん!良かったねぇ〜♪」

クロサキ「からす、お前面白ぇな。星の化身なのに堂々と、個人名書くなんて♪普通は、自分の星を書くだろ!」

クロサキは楽しそうにからすにマイクを向けた。

からす「え!?それは…さ…さくら君が可愛いのがいけないんだ!!さくら君ちっちゃくて可愛くて尊くてぺろぺろ…」

からすは緊張して、意味不明なことを話した。クロサキはその様子を楽しんでいる。

クロサキがささめきの金色の腕輪を外した。ささめきは「はぁ、疲れるわね…」と、だるそうにつぶやいた。からすは「わたしの腕輪は、さくら君がクリアしてから外してほしい」と話した。

マシロ「では次の人〜♪さくら君とお兄ちゃん!さぁ、舞台にあがってあがって♪」

さくらとタコパチはドキドキしながら舞台にあがった。

タコパチがクロサキに答えを伝える…

タコパチ「さくらのいちばん大切なものは、「からす」だよ」

クロサキがさくらの封筒を開けて、カードを掲げた。

さくらのカード…「からす」

カードに書かれた、「からす」という文字が、モニターに映し出されたのを見て、ミニキスは「良かった…」と呟いた。タコダイオウはパチパチと拍手している。フィカキスも嬉しそうだ。

その時、ささめきが大きな声を出した。何かに気がついた様子だ…青白い顔で、身を乗り出した。

ささめき「さくら、待って…!!!答えてはダメよ!!」

みんな戸惑っている。ミニキスが「なんでや、タコパチは嘘なんかついてへん!」と、言い返した。

ささめきはそんなミニキスを突き放し、タコパチを指さした。

ささめき「さくら、降りてきて!!早く!!こいつ、嘘ついてるかもしれない!!」

指をさされて、タコパチは驚いている。手先を震わせて、何かを言いかけて…口を閉じた。

マシロ(イカパチ)「舞台から降りるのは禁止だよ。降りてもいいけど、罰ゲームを受けることになるよ。

舞台にあがれるのはひとり一回だけ。答えるチャンスは一回だけ。舞台にあがれるのは五分間だけっていうルールだからね。

…さくら君は答え以外の言葉を話しちゃだめだよ。

クリアしたお兄ちゃんは舞台から降りてね。」

マシロはタコパチの腕輪を外し、タコパチを舞台の下に案内した。

そっとタコパチの耳元で呟く…

マシロ「…お兄ちゃんには、僕と同じ血が流れてる。デスゲームを動かす才能がある。タコパチ☆ファイヤーで全て燃やし尽くしてもいいのに、お兄ちゃんは勝つことを選んだ」

タコパチ「違う…僕は…僕は…!!!嘘なんか……」

泣きそうな表情で、舞台から降りてきたタコパチ。真っ先に駆け寄ったからすは、両手でタコパチの肩を揺らした。

からす「タコパチ君、嘘ついたのか!?どうして、嫌だ、やめてくれ、さくら君はわたしの恩人なんだ。お願いだ、ああ、こんなことになるなら、わたしが…わたしが…。早く、本当のことを話してくれ。」

タコパチ「僕は…嘘なんか………ついてない」

タコパチの瞳が泳ぐように揺れた。呼吸が乱れて、汗が額と頬を流れている……、誰が見ても、タコパチは嘘をついていると疑ってしまうような、怪しい様子だった。

むむ「ささめきちゃん、どういうこと!?どうしてタコパチ君が嘘をつく必要があるの!?」

ささめき「もう少し早く気が付いたら良かったわ…。マシロとクロサキ君以外の全員がゲームから抜けたら、マシロとクロサキはしぬ。というルールがあったでしょう!

弟のマシロをかばって…嘘を…話している可能性があるんじゃないかって…思ったの。わ、私、おかしいこと言ってるかもしれない、でも、急に怖くなって…こわくて、たまらないの… … …」

さくまがタコパチに掴みかかり、乱暴に地面に押し倒した。首をしめて、「本当のことを話せ」と、脅した。

ミニキスが、取り乱した様子で止めろ!と叫ぶ。

ミニキス「なにが起きてるんや!?タコパチは、嘘なんかつけへん…!!」

さくらが舞台の上にいられるのはたったの五分だ。タコパチは涙を流しているだけでなにも言わない…時間だけがすぎていく。

さくら(どうすりゃいいんだよ…)

からすが舞台の近くに駆け寄った。

からす「さくら君!さくら君…怖い思いをしていると思う。でも大丈夫だ。

タコパチ君とミニキス君は皆を守る、強くて優しい魔法使いなんだ。だから、さくら君に嘘を教えるようなことはしない。

でも、タコパチ君は弟のことを大切に思っている。守りたいと、救いたいと思っている。その気持ちは本物だ。

…でもそれは、誰かを陥れて叶えることじゃない。

そんなことをしても、イカパチ君は救えない。真心は届かないんだ。そうだろう?

この問題は、みんなで力を合わせて、心をひとつにして、立ち向かうべきことなんだ。

わたしもさくら君も、優しい戦士だ。だから、誰も見捨てない。諦めない。

きっとタコパチ君も、ささめきちゃんも、悪気なんてない。良く似た感情が大きく膨らんで、ぶつかり合っただけだ。

信じることは怖いことだけど、さくら君とタコパチ君には、その勇気がある。あるはずだ。

だから、さくら君。惑わされないで。」

からすは話し終えた後、振り返ってタコパチを見つめた。からすのまっすぐな言葉と、諭すような優しい視線。

タコパチの心は揺れ動いた。

タコパチはずっと気にしていた。イカパチの「僕とクロサキ君以外の全員がクリアして、罰ゲームを受けずにゲームから抜けられたら、みんなの完全勝利!その場合、僕とクロサキ君は、しにま〜す☆」というルールを気にしていた。

だからミニキスやさくら達と力を合わせて、残酷なゲームに立ち向かい、クリアしたいと、素直に思えなかった。

迷ってしまった。

タコパチのいちばん大切なものは「イカパチ」だった。他に大切なものはたくさんあるけれど、今はイカパチとしか書けなかった。

タコパチはぐるぐると考えていた。

星と宇宙を敵にまわした弟。誰にも心の回復魔法をかけてもらえずに、ひとりぼっちで泣いている弟。

イカパチは強くなったが、その正体は孤独な人間だ。正義の味方が力を合わせれば、本気をだせば…いつかは、負けてしまうだろう。それがラスボスの運命だ。

…このゲームが終われば、イカパチはころされてしまうかもしれない。

イカパチは、許されないことをした、悪いことをした。だから嫌われてしまうのは、当たり前かもしれない。

そう思うからこそ、現実をわかってしまうからこそ

イカパチの味方は、もう

自分しかいないのだと思った。

イカパチがしんでしまうところを何回も想像し、どうすれば助けられるのか考えた。しかし、思いつくのは…間違った選択肢ばかりだった。

それでも、それでも イカパチを見捨てたくない。

じゃあ、どうすればいい??

迷い、悩みすぎたタコパチはさくらに、嘘の答えを教えてしまった。罪悪感に押しつぶされそうになった。しかし、撤回するのは怖かった。本当のことを話す勇気が出なかった。今の今まで、泣くことしか出来なかった。

でも、からすの言葉を聞いて、自分の過ちに気が付いた。

(でもそれは、誰かを陥れて叶えることじゃない。

わたしもさくら君も、優しい戦士だ。だから、誰も見捨てない。)

そうだ…怖がって、嘘をつくなんて、いけないことだった。

タコパチ(ごめんね。みんなのこと、自分のこと、信じられていなかった。僕も、皆で力を合わせて、立ち向かいたい!怖い気持ち、弱い気持ちに負けたくない…!

僕は強くて優しい魔法使いなんだ。

僕がカードに書いたのは、「イカパチの未来」。早く、本当のことを伝えないと!)

タコパチは起き上がり、こぶしをぎゅっと握りしめて、口を開いた。

タコパチ「あ、あのね……!」

ーしかし、マシロがその言葉を遮ったー

マシロ「さくら君、あと、30秒だよ☆」

焦ったさくらは「ミニキスとフィカキス!」と答えた。

さくら「仲間のことは疑わねぇ!その方が後悔しないから」

マシロがゆっくりと封筒を開けて、カードを取り出した。

カードに書かれていたのは

「イカパチの未来」

マシロ「ハズレ!ざ〜んね〜んでした☆さくら君はゲームに負けちゃった☆十分後に罰ゲームを受けてもらいま〜す!!」

クロサキ「友情崩壊☆デスゲームの醍醐味だぜ!…ま、マシロ、速攻罰ゲームじゃなくて、十分待つのか?」

マシロ「うん。その方が面白いからね。

十分の間に、罰ゲームより面白いことをして、僕を楽しませてくれたら、見逃してやってもいいよ☆」

その言葉を聞いて、クロサキは何かを思い出した様子で、ぶるぶると震えた。

さくら「ま、マジかよ…お、俺、しぬの?」

さくらは膝から崩れ落ちた。金色の腕輪が視界に入った。恐ろしいことが起きてしまうかもしれない。ころされて、時間の宝石で別の宇宙に飛ばされてしまうかもしれない。

待ち受けるのは、永遠の孤独。絶望と未知の世界。

ーー

大切な人と

二度と会えなくなるかもしれない。

ーー

からす「そんな、そんな!!ありえない。」

ささめき「やだ、…やっぱり私が、残れば良かった…こんなの…」

からす「マシロ君!!クロサキ君!!」

マシロは「あは☆どうしたの?からす君。面白いこと思いついた?十分以内だからね」と笑った。からすは「そんなこと、思いつくわけがないだろう」と、低い声で呟いた。…マシロとクロサキは普段と変わらない様子で楽しそうに話している。

からすはタコパチのところへと行き、右手で衣服を掴んで揺らした。そして、震える声を絞り出した。

からす「タコパチ君…どうして本当のことをいわなかったんだ!!!!

あなたがしたことは、残酷で悲しいことだ。信じられない…。何が起こっているのかわからない…わかりたくない。

わたしにとって、さくら君は宇宙なんだ。宇宙のように、大切な存在なんだ。

どんな理由があろうと、自分勝手に他人の幸せを奪ってはいけないんだぞ!!!」

からすは左手を振り上げた。殴られる…そう思ったタコパチはギュッと目を閉じた。しかしからすはその手を、ゆっくりとおろした。

ミニキス「た、タコパチ…や、やばい事になった…どうしよう。ぅう、ごめん!!みんな、ごめん!!

ミニキスはタコパチの手を握って、走り出した。

タコパチ「!」

ささめき「ちょっと、逃げるつもり!?」

ミニキス「逃げへん!でも、三分だけふたりになれる時間がほしい。すぐ戻ってくるから、ほんまにごめん…!!」

ささめき「わ…わかったわよ…、心が落ち着いたら、すぐに戻って来て、解決策を一緒に考えなさいよ!十分しかないのよ」

ミニキス「わかってる、ささめきさん、ありがとう…」

走り去り、遠くなっていくふたりの背中。

ミニキスの肩に座っていたフィカキスは、ぴょーんと地面に降りた。そして、タコダイオウの肩によじ登って座った。

フィカキス「お、オレはここに残るわ。ふたりのためにも。ほんま、あいつら何やってんねん…。素直にオレの名前書いてたらよかったのに…。」

ささめき「タコのあんただけ残ってもね…」

フィカキス「ふたりとも絶対戻ってくるから。嘘なんかついて…。反省してると思う。」

ささめき「なんとかしないといけないわ。なんとか…しないと。」

むむ「……」

さくま「……」

ショックを受けて何も言わなくなったさくらを抱きしめて、しくしく泣くからす。

からす「さくら君は、わたしが守る。罰ゲームなんて、させない」

ささめきは、腕時計を…チクタクと進む針を見た…現実が心に染み渡っていく、残酷な別れと恐怖、焦りを、少しづつ実感していく。

ささめき(罰ゲームより面白いことって…なに?)

時間だけが過ぎていく。

ーーー

ミニキスとタコパチは、息を切らして走っていた。

タコパチ「ごめんなさい…ごめんなさい…僕、間違っちゃった…どうしよう…ぅう」

タコパチは泣きながら、ミニキスに謝った。

ミニキスは立ち止まった。

ミニキス「…オレも、同じこと考えてたんやと思う。ほんまは、「夢」って書いた」

タコパチ「え?」

ミニキス「だって、全員クリアしたらイカパチがしんでしまうやん!怖かった……タコパチがイカパチさんを救いたいと思ってる夢が、壊れる瞬間を目の当たりにするのが、怖かったんや。だから、なんとかせなあかんって、オレが悪いことせなあかんって思ってしもうた。思ってしもうたんや…。

でも、正直者でまっすぐなさくらの顔みたら…、やっぱりオレにはできひんって思った。ギリギリのところでタコパチに押し付けて逃げてしまった。

心がぐるぐるして、タコパチのことも、フィカキスのことも、タコダイオウのことも…焦って、何も考えられへんようになった。

でも、タコパチも同じ気持ちやった、同じこと考えてた。こんなことになるなんて。ほんまにごめん。話し合えば良かったわ、最悪やんな。

……もう大丈夫か?そろそろ戻ろう。

早く行こう、もっと悪いことになるかもしれへん。

時間もない。ちゃんと謝って、それから…とにかく、なんとかしよう。

もう迷わへんようにしよう。弱い自分も、秘密も、迷いも、怖がらずに打ち明けるようにしよう。オレらは強くて優しい魔法使いや…。な?」

タコパチ「うん…!」

ミニキスとタコパチは泣き止み、決意して、皆のところへ走り出した。

【10話に続く】

… … … …

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