「信じて。宇宙を巻き込むデスゲームに立ち向かえ!」
小説 星のはなびら(1章~最終章)&ノベルゲーム(アンノウンゲームマシロ・恋してタコキス~ほろぼされた星~・(プラネット同一体))がひとつの物語となって動き出す。ダークファンタジーな続編!不定期で1話ずつ公開します。
「小説しかしらないよ」「ゲームしかしらないよ」(実はキャラしかしらないよ)…って方も、知っていきながら楽しめる内容にしていきますので、興味がある方はこの機会にぜひ♪(●´ω`●)
読み始める前に
異性同性間の恋愛表現、残酷な表現を含みます。作品をお読みになる前に以下の注意事項を必ずご確認ください。(作品をお読みになった時点で、同意いただいたものといたします。)
関連作品【星のはなびら&ノベルゲーム】
星のはなびら(小説・全9章)
愛が重すぎるヤンデレ男子たちが主役の、壮大なストーリー!「星のはなびら」は、作品内で星がほろぼされたときの様子、星が散る美しい様子を意味しています。生死を超え、時間を超え、宇宙へと広がる彼らの残酷で複雑な恋心の行く末は…?ぜひ、荒花ぬぬの世界を楽しんでください♪(残酷な表現、異性同性間の恋愛表現を含みます)
ノベルゲーム
(プラネット同一体)→アンノウンゲームマシロ→恋してタコキス~ほろぼされた星~ の順番であそぶとわかりやすいです。一作品30分くらいでクリアできます。今回の小説は、プラネット同一体の内容はほとんど含まないです。
【星のはなびら2~対決☆タコタコタコ星~】1話 本文
誰かの一番大切なものを奪い、壊してしまう。俺なんて、誰かを愛する資格なんてない。いなくなってもいい。そんなことばかり考えて生きてきた。
俺は悪人である自分自身を許せないでいた。
…マシロと出会うまでは。
マシロは悪に染まった俺の人生を抱きしめてくれた。初恋の続きを描くためのクレヨンをプレゼントしてくれた。俺の罪を開放し、生きる場所をプレゼントしてくれた。
フレッシュでエキサイティングな未来をくれたんだ!
今日も開催される、俺とマシロの恋のデスゲーム。
どんなことがあってもそばにいる。全てを捧げる覚悟はできてる。
俺たちの夢
…宇宙を舞台にした
星の化身を巻き込むデスゲーム開催…
さぁ、叶えちまおうぜ!!
― ― ― ― ―
タコタコタコ星のどこかにある、不気味な洋館。
そこでは毎日、負けると命を奪われてしまう残酷なゲーム「デスゲーム」が開催されていた。
デスゲームに人々を強制参加させて楽しむ、ふたりの主催者「マシロ」と恋人「クロサキ」。
クロサキはマシロの正体を初恋の相手「ふゆの」であると信じているが、実際は別人だ…マシロは夢に登場した理想の王子様を手に入れるために、ふゆのに成りすまして、クロサキをトリコにしているのだ。
マシロの正体は、タコタコタコ星を牛耳る大企業「レッドデビル☆カンパニー」の行方不明の社長「イカパチ」。イカパチとその兄は、幼いころから仲が良く、強くて優しい天才魔法使いだった。医師を志す兄と二人三脚で「何でも癒せる回復魔法」の開発と普及を夢みていたが、不幸な事故をきっかけにイカパチは魔法を使えなくなってしまった。
今まで通りできない、思い通りにできない。魔法が使えなくなって可哀そうだと噂されて、兄との力の差を実感して…悔しさを感じたイカパチは絶望し、心が暗転してしまった。「回復魔法は弱い奴が使うものなんだ。楽しいと思うことを、これ以上失いたくないし、守りたいって思ったんだ。魔法を使えない僕が魔法を使えるみんなに、勝ち負けを教えてあげるんだ」。
イカパチは過去を捨ててマシロと名乗り、デスゲーム…人殺しに夢中になってしまった。そしてマシロはクロサキと宇宙を舞台にしたデスゲームを開催するための準備を進めている。
― ― ― ― ―
血なまぐさい香りが漂う洋館のリビング。時計は夜10時をさしている。俺(クロサキ)は革製の大きなソファでくつろぎながら、シャワー中のマシロを待っていた。
お風呂上がりのリラックスタイム。濡れた髪からしずくが落ちる…床が濡れちまうし、さっさと乾かしちまおうっと。ローテーブルの上にお気に入りの鏡を置いて、ドライヤーに手を伸ばす。スイッチを押して風を当てると、トリートメントの香りをふわふわと感じた。
マシロがプレゼントしてくれた、可愛いカエルをモチーフにした衣装を着て、ピアスをつける。身支度を整え、帽子を手に取って立ち上がったとき、マシロがシャワールームから出てきた。
健康的でしなやかな体が視野に入る。真っ白なタオルを腰に巻き、濡れた髪をかきあげて、「おまたせ」といたずらな笑顔をみせた恋人。何回見ても見慣れないな、色っぽくてほんと可愛い!
クロサキ「見とれちまうぜ、ベイビー♪」
マシロ「クロサキ君もかっこいい♡僕の裸体、もっとみてもいいよ。クロサキ君は僕の王子様だから特別…♪」
クロサキ「バカ、これ以上はだめだって…狼になっちまう。目のそらし方を教えてくれよ。このままだと、刹那の快楽に24時間流されちまうぜ」
立ち上がって、マシロの体を拭く手伝いをする。衣装を着たマシロを、ソファにエスコートして、白色の髪をドライヤーで乾かしてあげる。
マシロ「クロサキ君、もう着替えてる。準備万端だね」
クロサキ「ああ、マシロとのデートが楽しみでたまらなかったんだ。今夜はタコタコタコ星から出て、違う星まで遠出する予定だろ?宇宙を舞台にしたデスゲームの準備をするために。待ちきれねぇよ、もう興奮してる」
マシロ「あは♡僕も同じだよ。…よし、準備できた。出発の前に作戦を振り返っておこうよ♪宇宙を舞台にしたデスゲーム、楽しみでたまらない、ゾクゾクしちゃう」
マシロはポケットから愛用の手帳を取り出した。手帳の表紙にはふたりで撮ったプリクラが貼ってある。俺は体を密着させて、まるっこい手書き文字を覗き込んだ。
クロサキ「演出、セリフ、武器…完璧だぜ」
可哀想でハッピーな参加者は…星の化身とその仲間たちだ。
星にはひとりずつ、星の化身という守り神がいる。星の住民(星の民)の平穏な暮らしを守っている存在だ。星の化身は固有の星の力を持っていて、魔法や不思議な力を使える強い奴が多い。宇宙の力がはたらくから、星の化身は基本的には自分の星から出られない。
星の化身が死ぬと星は透明になって、消滅する。消滅の瞬間は、光が星全体を包み込み、はなびらのように舞い広がるらしい。(宇宙では星の力を奪い合う、侵略者と星の化身の戦いが繰り広げられている)。
俺たちは、そんな星の化身たちをデスゲームに招待して、戦わせようとしているんだ♪何億人の泣き顔をみるのが楽しみだ、いや、それ以上に…喜ぶマシロの顔が見たいぜ。
マシロ「宇宙船は完成したし、次はデスゲームを開催するための会場の確保~♪はじめての操縦、爆発しなかったらいいね♪」
昨日、やっと使えるようになった宇宙船を見上げる。…まだ一隻しか用意できていないけどな。大企業レッドデビル☆カンパニーをボコボコにして支配して、いちばん頑丈な小型宇宙船を奪ったんだ。
本を読みまくって勉強して得た知識で改造し、デザインも変えて…宇宙船は俺とマシロの仲間になった。宇宙船を動かすためのエネルギーは、レッドデビル☆カンパニーの社員の魔力や生命力を使っている。
クロサキ「操縦は任せろ!やったことねぇけど、イメージトレーニングはバッチリなんだ。大爆発なんかしねぇよ」
マシロ「やだやだ、大爆発なんてしないよ!…本当はタコタコタコ星全体をゲームの会場にしたかったけど、邪魔なものが多すぎるんだよね。人間とか建物とか山とか海とか…全部壊して平らにするのは面倒だし。
どうしようかなって悩んでたけど、レッドデビル☆カンパニーの子が、デスゲームにぴったりの星を知っていたからよかった。
さぁ、その星の化身の首を絞めて、星ごと奪って、デスゲーム会場を建設設営しにいくよ☆」
宇宙船の操縦席に座る。勉強した操縦方法を頭の中で思い浮かべながら、スイッチやハンドル、レバーを確認していく。ディスプレイに宇宙マップを表示させ、道順を確認する。
レッドデビル☆カンパニー…はもともと医療医薬業界のトップだった大企業。今は方針が変わって、他の星の侵略に励んでいる。魔法で星の化身を倒して星を消滅させ、星の力や技術、文化、記憶を回収しているんだ。タコタコタコ星の星の化身や警察官も、み~んな彼らに協力している。あいつらは星ぐるみの、魔法と戦闘のプロ集団なんだ。
ちなみに、レッドデビル☆カンパニーの魔法戦士を「タコ魔法戦士」という。赤色の制服と水色のネクタイをつけているから、見たらすぐわかる。
でもレッドデビル☆カンパニーは俺とマシロのものになった。暴力で全部奪ったんだ。華やかに使ってやるよ♪
マシロは魔法が大嫌いだ。特にレッドデビル☆カンパニーのやつらのことが気にいらない様子で、冷たい瞳で睨みつけていた。…俺も同じ気持ちだ。魔法を使うやつらはダサいんだ。
魔法は便利だ。でも…魔法に頼っているくせに、自分が強いと勘違いしてるやつが多すぎる。
安全な場所に隠れたまま遠距離攻撃して戦うやつ。
数か月努力すればなんとかなりそうな夢を、魔法を使って一瞬で叶えちまうやつ。
そいつらは、魔法がつかえない環境になると、泣くことしかできないんだ。
俺たちは違う。度胸がある。
鍛えて、体を使う。勉強して、頭を使う。
そして…「魔法を使う人間」を使う。
自分の強さを信じてる。だから勝ち続けられる。自力で夢をかなえられるんだ…そうだろ?マシロ。
しんじてるぜ。
マシロは隣で、トロピカルなジュースを飲んでいる。
マシロ「音楽かけていい?テンションあげていこー!」
クロサキ「もちろんだぜ。さぁ、出発だ!えっと…何て名前の星だっけ?」
マシロ「ふふ…それはね、」
― ― ― ― ―
ここは「緑色の発明の星」
星の化身は俺、「ことお」。昔は栄えていたけれど、今は俺と俺が作ったロボット「オキ」しか住んでいない退屈な星さ。
この星は俺とオキが破壊しつくして遊びつくしたから、もうなにもないんだ。ところどころに雑草がはえているかな?っていう感じ。空気も枯れちまってて、見渡す限り荒野が広がってる♪
自分の星だけじゃなく、他の星も…宇宙すべてを破壊しつくすつもりなんだ♪
俺は「宇宙を生み出した神みたいな奴」に用事があるんだよ…。宇宙全部を破壊したら、宇宙を生み出したそいつがキレて、顔を出すかもしれないじゃん。そのためにオキと力を合わせて、もう何十個も星を侵略してる。
と、言いつつも。そんな理由はおまけみたいなもので、戦う理由はそれだけじゃない。
正直に言っちゃうと、…俺はなにより、
破壊そのものを愛しちゃってるのさ!!
天才発明家で天才カガク者の俺&愛の結晶で運命共同体のオキの戦闘力があれば、俺たちはいつか、ぜったいに、宇宙でおかしくなるくらい気持ちよくなれる♪
オキと一緒に、思考力と力を全部使って解放して、遊んで食って寝てヤって、戦い続けたい…!それしか考えられない毎日。
壊し続けていつの日か、何もない宇宙、何もない緑色の発明の星に俺とオキだけが残ったとき…オキには愛の印として宇宙で一番のご褒美をあげるつもり。
それは、愛した人を破壊する快感♪
ショートケーキのイチゴを残してオキにあげるんだ…あ、でも、俺が死んだら「この宇宙を生み出した奴に会う用事」が果たせないか…?やっぱ、オキに任せるしかないかな。まぁいいか、その時はその時。気持ちいいことを前にしたら、我慢できないし、気持ちよくないことに頭使いたくないんだよな。
…色々考えて、ひとりごとをつぶやきながら作業するのは楽しい。俺専用の、星の化身の力(星の力)を宿すコンピューター。緑色に輝くディスプレイに囲まれ照らされながら、キーボードを叩く。今はオキが持って帰ってきてくれた他の星の力を分析しているところさ。改良して、オキをもっともっと強くしてあげるのさ♪
ふと鉄の香りがして、電気が弾ける音がした。オキが宇宙から帰ってきた。
オキは「ことお君、ただいま」と言いながら、自慢げに星の力が宿った光の欠片を見せた。
オキ「ほら、強い力でしょ。星の化身、何人か倒して奪ってきたんだ。ことお君が、僕とくまを改造して、強くしてくれたおかげだね」
ことお「ヘイ、オキ!おかえり。俺のおかげ?はは、遠慮するなって♪全部、オキの実力だろ?」
オキ「そうかな。でも、強くなりすぎちゃった。だって今回も小さな稲妻攻撃で簡単に倒せちゃったんだ。最高の気分にはなれなかったよ」
ちなみに、くまというのはオキのオキニのぬいぐるみの名前だ。今は改造しすぎて、ロボットと呼ぶ方が適切かな?オキは俺がいないときは、くまを俺の代わりにして、撫でたりキスをしたりしている…超かわいいんだよなぁ。はぁ…(恋のため息)。
俺はくまを遠隔操作して遠い星にいるオキを見たり、会話したり、ビームを出したり…様々なサポートをしている。
ことお「マジ?物足りなかった?…オキが強すぎて困っちゃうよ」
オキ「次はどの星を倒しに行く?自分の力を試してみたいし、次はことお君が知ってる一番強い星に行ってみたいな。教えてよ、気持ちよくなれる星」
ことお「まさか…「青色の不死の星」に再挑戦したいのかい?」
青色の不死の星は、俺たちが唯一負けて、冷や汗を流しながら逃げ帰ってきちゃった、星の力が無限に湧く強星だ。星の化身はアホだし強くないんだけど、その仲間達が邪魔なんだよなぁ。頭が切れる奴ばかりだ。特に青い瞳の背が高いあいつ。あいつは卑怯な力を使ってくるから、ムカつくんだ…。
オキ「…今はあいつらとやる気分じゃない。もっと面白い星の化身と戦いたい」
オキは唇を尖らせて、不満そうな顔をしている…冗談だよ、冗談!あんな星、俺もごめんだって!機嫌なおしてくれよ。俺はキーボードを鳴らし、ディスプレイに、とある赤色の星を表示してみせた。
ことお「最近見つけたこの星はどうかな?その名も、タコタコタコ星。魔法が得意な星。なんと、一撃で星を燃やし尽くせる魔法を使える戦士がいるらしいんだ!その魔法の名前は「タコパチ☆ファイヤー」」
オキ「変な名前…おっかしいなぁ」
ことお「ただ、タコタコタコ星についてはまだ詳しい分析ができてなくて、星の化身を見つけられてないんだよね。一般人に擬態してるのかな。まぁ、俺のコンピューターが検知できないってことは、強い星の力は持ってないと思うけど♪」
オキ「ふぅん。分析できたら教えてよ。本当にそんな強力な魔法が使える戦士がいるのかどうか、確かめに行きたいし。…あれ…ことお君、どうかした?…なにこれ?」
突然、空から紙吹雪が降ってきた。
白色と緑色の色紙。誰だよ、空気さえ枯れた俺の星で、勝手に誕生日パーティ開催したがってる奴は!笑。
やがて、空から小型の宇宙船が降りてきた。
オキ「ことお君、誰かが攻めてきたみたいだよ」
ことお「ひゅ~♪オキ、やっちまおうぜ、気持ちよくなっちまおうぜ。破壊しがいのある奴が来たらいいな♪」
興奮して喋ってたら涎が…!…口を拭ってから、指をパチンと鳴らした。
空中に現れた特別製のマシンガンを手に取る。使っていたコンピューターは星の力でリサイズし、俺の髪留めに収納した。
近づいてくる宇宙船…強風になびく髪。準備オッケー、いつでも来なよ。
無許可で俺の星に着陸した宇宙船は、白色と緑色が鮮やかで、カエルのキャラクターが可愛らしい、個性的で派手なデザインをしている。俺の趣味じゃない。
大音量の楽しい音楽が流れ始める。紙吹雪と、スポットライトを浴びながら、緑色のマントをひるがえし、二人の青年が登場した。
マイクを持ったふたりの青年は、身振りを交えながら、笑顔で話し始める。演劇でもはじまるのか?
マシロ「☆マシロ&クロサキ登場☆
ようこそ、緑色の発明の星へ!あは♡噂通りなんにもない星だね~」
クロサキ「おいおいマシロ、ようこそって冗談だろ?まだ俺たちの星じゃないぜ?」
マシロ「あ~ごめんごめん、勘違いしちゃった♪クロサキ君の操縦が乱暴すぎて船酔いしちゃって、ちょっぴり疲れちゃったんだよ」
クロサキ「おいおい、大丈夫か?でも気にすることないぜ♪どうせ今からこの星は、俺たちの物になっちまうんだからな!」
オキはつまらなさそうに、変な二人の様子を見つめている。
俺はマシロとクロサキと名乗った二人に、マシンガンを向けた。
ことお「ひゅ~♪面白いからその寸劇、さいごまで続けてくれていいんだぜ♪観覧料はきっちり支払うからさ。遠慮せず受け取ってくれよ?緑色の発明の星特性の銃弾と大爆発をね♪」
マシロは俺の殺意を歓迎しているようで、楽しそうに緑色の目をぐるぐる、ギラギラさせている。
マシロ「ノリがいい子は嫌いじゃないよ、ことお君♪でもごめん、銃弾と大爆発は足りてるんだ。観覧料は、星と星の化身のことお君でいいよ♡
緑色の発明の星は宇宙を舞台にしたデスゲームの会場に生まれ変わるんだ☆
整地されてるし、立地も完璧なんだよね。
本当はゲームで勝ち負けを決めて遊びたいけど、ことお君とゲームをする楽しみは本番にとっておきたいなって思ったんだ♪だから今夜は暴力で決着をつけよう。
クロサキ君、星が消滅したら会場として使えないから、ことお君は生け捕りにしてよね」
クロサキ「わかってるって。星の化身と戦うなんてシビれる!でも負ける気がしねぇなぁ。さぁ、はじめよう」
手を広げて、決めポーズ…
マシロ&クロサキ「デストラクション☆ゲーム、スタート!!」
変わり者のふたりの瞳が殺意を宿した瞬間、俺たちは我慢するのをやめた。戦闘本能を爆発させて、攻撃を開始する。
オキは普段通りの微笑みをうかべたまま、指先から稲妻を飛ばした。感電した宇宙船。あらゆるパーツが唸り声をあげ…大爆発した。
地面が大きく揺れる。俺とオキは、バリアを張って、爆風をやり過ごした。
燃え盛る宇宙船。激しい炎の中から、マシロとクロサキが転がるように飛び出してきた。煤(すす)まみれ、顔は赤色、汗まみれだ。
マシロ「あっちっち!防火性のマントでよかった、ケホケホ…」
クロサキ「おいおい、宇宙船がやられちまったって!!帰り道どうするんだ!?」
体の中が焼けて苦しいのか、マシロは膝をついた。お腹をおさえて、苦しそうに咳をしている。
俺はマシンガンを構えて、狙いを定めて引き金を引いた。何発も何発も撃ち込む!
繰り返す閃光と銃声が脳に突き刺さる。腕に伝わる衝撃が体全体に響いて、おかしくなりそうなほど興奮した。黒煙が視界を悪くしたけど…星の化身とロボットの俺たちには関係ないね♪
オキは両腕と両足を黒色の刃に変形させた。胴体よりも大きな刃は熱を帯びて、周囲に大きな火花を飛ばしている。
オキ「ふたりの心臓を突き刺してくる。血の色を確かめてあげなくちゃ」
黒煙の中に飛び立ったオキを見送る…。
おいおいマシロ、クロサキ、もうおわりだなんて言わないでくれよ?
煙の中から金属がぶつかるような音が聞こえた。
その瞬間、俺の体に
―重たいものがぶつかった―
煙の中からハイスピードで飛んできた重たいもの。星の力を使おうにも間に合わず、体力的にも支えきれなくて、俺の体は勢いに任せて吹っ飛んだ。
硬い地面に叩きつけられ、骨が折れる感覚がした。超苦しい!!血の味がする。痛くて呼吸が逆流する。…いいじゃん、こいつら結構強いじゃん、楽しくなってきた♪
ひとりで小さくて弱いものを破壊したって満たされないのさ、飽きちゃうからね。愛するオキとふたりで大きくて強いものを、集めて貯めて戦って、転がして焦らして、大爆発させるから楽しいんだよね!
立ち上がるために、ぶつかってきた大きくて重たいものをどかそうとして… … 俺の高揚感は消沈した。
俺に投げつけられた重たいそれは、
真っ二つに引きちぎられた
オキの下半身だったんだ。
ことお「ちょ…オキ!?…え?」
急に寒くなってきた。これ、本当にオキの体なのか…?ちょっと待ってくれ、何が起きてるんだ!?
オ…オキはこれまで侵略してきた何十個の星の化身の力を、かけ合わせて強化してきた、宇宙最強の、愛が詰まったロ、ロボットなんだ。人間ふたりがどうにかできる様な存在じゃないじゃん!
オキ「…ぁ、やだ、たすけて、ことお君… …」
最愛の人の怯えた声にハッとして、顔をあげる。
煙の中から現れたマシロは、右手でオキの頭を掴みあげて、俺に見せつけるように揺らしていた。垂れ下がった両腕、丸見えになった電線…煙を上げているオキは泣きそうな顔で助けを求めている。
クロサキ「盾と防煙メガネもってきてて良かったな。マシロ、さっき咳してたけど大丈夫か?あの体に悪そうな煙、吸い込んでねぇだろうな!?」
マシロ「吸い込んでないよ、船酔いがまだ治ってないんだ。酔い止め持ってきたらよかったなぁ、魔法が使えないと持ち物が多くなりがちだよね」
こいつら、魔法使えないの!?腕力でオキの胴体を引きちぎっちたってことかよ…魔法を相手にした防御方法(魔力を吸ったり、利用したり、跳ね返したり)はいつも研究してるけど…ありえない、ヤバいって。
なんだこの気持ち、心を鷲掴みにされているみたいだ。
マシロ「大事なロボットを目の前で破壊されるなんて、ドキドキしちゃうでしょ。腕も引きちぎっちゃおうかな~♪」
ことお「や、やめろ!!オキを離せ!!」
俺は星の力を操って、何丁ものマシンガンを出現させ、まとめて引き金を引いた。自分の指で引き金を引かずに武器を動かすのはつまらないけど…今はそんなことを言ってる場合じゃない。
何とかして、あいつらをヤって、オキを取り返さないと!!
クロサキが一歩前に出て、釘が刺さった緑色の金属バットを構えた。放った銃弾は、全てクロサキに打ち返され、空高く飛んで行った。
いくつかの弾が俺のところへ跳ね返ってきて、胸に突き刺さった。お腹の奥から血が溢れてきて、俺は膝をついてむせた。地面に赤い水たまりが広がる。
ブチブチ、ぎぎぎ…がりがり…
嫌な音。マシロがオキの右腕をひきちぎろうと力を込めているのが見えた。俺はたまらなくなって叫んだ。
ことお「わかった、わかったよ!俺もこの星も、ぜんぶ、好きにしていい!
宇宙を舞台にしたデスゲームの会場にしたいんだっけ?
何でもいいからさ、とにかくオキを返してくれ!
オキを破壊していいのは、宇宙でただ一人、俺だけなんだ!!!」
マシロ「は〜い君の負け☆あは♡素直でいい子だけど、思ってたより弱かったなぁ。泣きそうな顔しないでよ、大丈夫、壊したりしない…もったいないからね、有効活用してあげるよ」
マシロからオキを奪い返し、星の力で手足を修復する。
ことお「ごめん、オキ…すぐ治してやるから…」
オキ「…僕が弱かっただけ」
オキの手を握る。震えてるじゃん、かわいそうなことするなよ。
マシロ「ふたりには宇宙船の修理、デスゲーム会場の建設と設営を手伝ってもらうよ。人数が足りないかな…レッドデビル☆カンパニーの皆も連れて来ないとね。
そうそう、ことお君には情報提供もしてもらうよ♪知りたいことがあるんだ。難しいことじゃないよ、君のコンピューターを僕にプレゼントするだけでいいよ♪
ことお君とオキ君にはご褒美として、本番のデスゲームにも参加させてあげる。破壊を楽しむ二人にぴったりの、最高のゲームとショーを用意するよ。
改めてよろしくね、僕はタコタコタコ星からきたマシロだよ」
クロサキ「俺は王子様のクロサキだ」
握手をもとめられて、俺とオキは顔を青くして腕を引っ込めた。
マシロ「そんなに怖がらないでよ、仲間なのに♪今はね。
まぁいいか。さぁ準備をはじめよう☆」
ヤバいって、ムリだって…恐ろしいことになってしまった!助けを求めなきゃ、タダ働きさせられる上に、変なゲームに巻き込まれてしまう!
俺は隙を見て、遠くに転がっているくまに、星の力を送り込んだ。くま…たのむ、誰かにこの状況を伝えてきてくれ。
誰かって言ってもなぁ…友達0人だし、なにもかもを破壊してきたから頼れる奴なんてひとりも残ってない。生きてる知り合いは、あいつらしかいない…!
ライバルを巻き込んで、状況を破壊するのさ!
空のかなたへ…ひとりぼっちで飛んで行ったくまを背中で見送り、俺はマシロに「それで、俺たちは何をすりゃいいの?」と聞いた。
【2話に続く】
… … … …
・イラストや小説の二次創作用タグは「#荒花ぬぬ作品」。写真やイラストの無断転載や、誹謗中傷、その他迷惑行為は禁止です。この創作サイトはSNS等で気軽に紹介、共有いただいて大丈夫です!。なにかございましたらお気軽にご連絡ください。これからも荒花ぬぬの応援をよろしくお願いいたします 。読んでくれてありがとう♪
荒花ぬぬ